興味を持つもの

(確か受付嬢してても、普通にギルドで簡単な依頼とか受けて

稼いでも問題ないんだよなぁ…)


向こうの世界で、正社員の場合副業というのは、なかなか厳しいものがある

時間的にもしんどいが、規則とかもあったりする

まぁ、ココの世界に正社員やアルバイト・パートといった概念があるか…

その辺りは分からないが…

聞いている限り自由…という印象だ


「だいたい、半分より少し多いくらいの人が生産系だったり

お店関係の仕事に就職してるよ

残りが冒険者だったり、騎士や憲兵といった戦闘職だね」

「へぇ~…冒険者って、そこまで多いわけじゃねぇんだな…」


就職の割合を聞き、キョウヤは心底意外そうだった

まぁ、キョウヤがそもそも生産職に興味を示していないのだが…

それでも、向こうの世界からこちらに来ると

自由に冒険できる職業が魅力的に見えるのだろう

なので、そちらに就く人が半分より少ないというのは、意外なのだろう


「でもキョウヤ、冒険者とそれ以外…って大雑把に分けられてるから

冒険者の割合少なく感じるけど…

生産職とか飲食業とか…その辺全部ごちゃ混ぜなんだからさ

割合的には、それぐらいじゃね?」

「確かに…冒険者は一つの職業だもんな…

まとめて対比されて半分以下…だけど

確実、どの職業よりも多いよな…」

「そうだよ、それに、キョウヤ君やユウキちゃんは戦闘向きのステータスだけど

皆が皆そうだとは、限らないし

人によって興味のある物は違うからね!」

「そうそう、キョウヤが生産系に興味示さないじゃん?

それと一緒で、戦闘に興味示さない奴もいるんだよ」


ふふん、と得意気に言うユウキをジーッと見るキョウヤ

視線に気づいたユウキだが、意図は分からず、若干引き気味だ


「お前は両方やってるじゃねぇか」

「いや、ユウキちゃんが特殊なんだよ

普通は、一つ極めるのに時間がかかるのもあるけど

だいたい、生産系か戦闘系かどっちかだけになるんだよ」

「ねえ、それ…まるで僕が異常みたいな…」

「異常だよ」

「オカシイだろ」

「……」


二人に同時に言われてしまったため、黙るしかないユウキ

確かに、この世界の人からすると異常なのは自覚しているが

同じ世界出身の2人にまでそこまで言われるとは思っていなかったのだろう


「だってさ、やってみたくなるじゃん?」

「いや、戦闘職の武器を色んな物使ってみたいとは思うが

生産にまで手を出そうとか思わねぇ」

「お菓子とかご飯とかのレシピは一杯覚えたいけど

それだけで満足だし、それ以上はキャパオーバーだよ」

「……だって、やったら出来るし、やってみたいやん!!」

「それ、ユウキちゃんだからこそ…じゃない?」

「……」


そう言われてしまっては、打つ手がない

実際キョウヤは戦闘職にしか興味はないし

ミナミは料理にしか興味がない

そして、この世界の人は自分の職業にしか興味がない

つまり、ユウキの味方は皆無で

ユウキだけだから、ミナミの言った魔法の言葉で終わらせるほかないのだ

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