想定外

「あのさ…現実逃避してるとこ悪いけど、現実だからね

僕が作るポーション…とりあえず、今作ってるのは<低級>だけど

品質傑作だからね!」

「ねぇ、ユウキちゃん!いきなりそんな滅茶苦茶な現実投げつけないでよぉ~

オカシイんだよ!普通に考えてオカシイんだよ!!?

何で色んな属性の魔法使えて、しかもレアなものまで使えて

それに加えて、加工して傑作とか!!!どんだけ規格外なの!!?

いや、もう全てユウキちゃんだからで終わらせて良いんだけどね!!?」


ズイッと凄い剣幕で言うミナミの迫力に押されて

若干顔が引きつるユウキ

ユウキにとって当たり前の普通の事でも

ココでの常識人のミナミにはかなりの非常識だったらしい


「ミナミは大げさだよ…ココの住人の人…

そりゃ、驚いてたけど…んな大げさに驚いては…」

「あのねぇ!ユウキちゃん、それ、全部を一人の人に言った!!?」

「…ん?…ぇーっと…」


ビシッと指をさされ、記憶を辿ろうと視線を泳がせる


「…ポーションとかの傑作が作れるのは、ボックスの2人が知ってるけど…」

「その2人は、ユウキちゃんがレアな魔法使えるって事は!!?」

「…ぇっと…知らない…けど…」

「一つの事だけなら、そりゃビックリはするけど、あり得ない事ではないからね!」

「…洞窟で助けた2人には、転移魔法と採掘は見せたけど…

生産の事は伝えてない…し…」

「ほらぁ!!」

「…だって、ほら…全部教える事なんて、そう無いじゃん?」


特に悪い事はしていないはずなのに、何故か追い詰められている気分になる

まぁ、実際追い詰められてはいるのだろう


「私は、皆が一つずつ聞いて驚く事を全部まとめて知ったの!!

だから、私の反応は大げさじゃないの!

ココに住んでる人、だいったい同じ反応になるんだからぁ!」

「(大げさだって言葉に引っかかってたんだな…)

はいはい、分かったって…

まぁ、皆が僕の事を全部知る…事は…」


『ない』と続けようとして、ふと気づく


「…学校って…戦闘から生産まで幅広く教えてくれるんだよね…?」

「まぁ、そりゃ学校だから…あぁ~…うん、諦めた方が良いと思う」

「…マジか…」


そう、気付いてしまった事

それは、学校でユウキが全部出来る…という事を

生徒は知らないかもしれないが、少なくとも教師は知る事になるだろう…

という事


「ま、まぁ…情報誌にでもならない限り面倒ごとには…」

「ならないとは言えないんじゃない?

少なくとも、先生の反応見てたら、生徒には伝わるだろうし

言っとくけど、情報誌は色々な人から、色んな情報がもたらされるからね?

格好の餌食になるんじゃない?」

「マジかよ…」


『学校で学ぼう』と思った自分を殴りたい…と一瞬思ったが

あの時はミナミが来て色んな常識教えてくれるなんて分からなかったから仕方ないし

あの時にあの判断になるのは、どうしようもないのだ


(まぁ、誤算としては…僕の戦闘も生産も両方知れ渡る…って事だよな…

いや、まぁ、その可能性も視野に入れてたけど…

これは、予想してるよりも騒動になりそうなんだよなぁ…)


面倒なフラグは立てたくないのだが

これは、きっと避けられない現実になるだろう…


「あ、そろそろ夕飯の準備しなきゃ…

ユウキちゃんはそれが終わったら、食べるよね?」

「ぇ…あ、うん…」


最終、いつもの『ユウキちゃんだから』で全てを終わらせたミナミは

気持ちもサラッと切り替え夕食の準備に行く

ユウキは、とりあえず作業を続け終わらせると

一番大変な仕事…キョウヤを起こす…に取り掛かる


「早く、自分で起きれるようにならねぇかなぁ…」


まぁ、魂の関係なので、どうしようも無い

『まぁ、無理だろうけど…』と心の中で呟いてドアを開ける

そこにはベッドの中にいるキョウヤが…

予想通り…というか、いつも通りである


「おーい、キョウヤ起きろ、ご飯出来るぞ」


無駄だと分かっていても、とりあえず声をかけるユウキ

返事など期待していない

身の危険を感じないと起きないのだから

あの大きな目覚ましの音ですら起きないのだから


「うぅ…ん~…うるせぇ…」

「……………って、起きた!!!?」

「うるせぇな!俺だって普通に起き………えぇ!!?普通に起きた!!?」


ユウキよりもキョウヤ自身が一番驚く

驚いた二人は、唖然とした表情でお互いを見て固まった

予想外の事が起きたのだから、仕方がないだろう

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