共感者は…

「だから、基本的にギルドで販売してたり、格安で冒険者が使うお店にも置かれてるんだよ」

「…成程…帰還の翼は誰でも使いやすい物になってるんだね」


まぁ、確かに登録した場所に戻るアイテムいうのは

ゲームの中でも割かしあるし、結構入手しやすい値段な事がある…

と、ユウキは一人頭の中で納得していた


「うん、コレが無いと冒険者の人大変だしねぇ~!

つーまーり、マジックアイテムの帰還の翼は、何処でも手に入る

まぁ、レアな転送魔法だけど、マジックアイテムだから、帰還しか出来ない

つまり、転送の魔石みたいに応用が出来ないの!

だから、転送の魔石はとっっっっっても貴重なの!!!」


長々説明し、やっと最初の本題に戻ってきたミナミ

この世界の住人ならば、こんな事細かに説明せずとも

皆「うんうん、そうだね」と頷いてくれるのに

目の前にいる子は、皆が声を揃えて「すごい」と言う事を

サラッとやってのけるし、貴重な物も「へぇ~そうなんだ」で済ませてしまう

力説してみたが…


「へぇ~…そういうもんなんだ…」


イマイチ事の重大性は伝わっていなかった


「もう、何でそんなに冷静というか、動揺しないというか…

何で普通なの…というか、その前に、そんな貴重な魔石…どっから入手したの?」

「ぇ?自分で作ったんだけど?」

「……えぇぇ!!!?ちょっと待って、転送魔法も使えるの!!?

適正どーなってるの!!?」

「いや、前に全部適正あるって言ったじゃん…」

「言ったよ、言ったけど!!!レアなやつも全部網羅してるの!!!?」

「あ…レアな奴は別扱いだったのか…

ん~…多分、ホントに全部適正あるよ」


ユウキの答えに、ミナミは驚きながらも、納得した


「…道理で、貴重な転送の魔石を湖に放り込むわけだわ…」


そう、ユウキにとっては自作出来る魔石

すぐに出来る物をどんなに貴重だと力説されてもピンとこないだろう

だから、あんな反応なのだ

ミナミの中で全てがつながったのだった


「さてと…あとは魔力を込めて…」


ユウキが魔力を込めると、乳鉢の中にあった物は変化し

綺麗なポーションが出来上がる


「そうそう、ビンを出して…中身を入れて…」

「…こうやって量産してる人がいるって知ったら

ポーション作ってる人、驚くよ…」

「まぁ、そうだろうねぇ~

でも、何で一つずつ作るか、そっちのが僕は疑問」

「仕方ないよ、この世界では、まだ量産なんて概念が無いんだから

一つ一つ丁寧に作る…ってなってるから」


そのミナミの返答に、興味なさ気に「ふ~ん」と答えながら

錬金術で作ったビンに黙々とポーションを入れていく…

というか、近づけると勝手に入っていく


「そういえば、普通のポーションみたいだけど

何でユウキちゃんの作った物は普通の物と被らない…の?」

「あぁ…それか

それはね、僕が作るポーションは『傑作』だからかな

効果高いけど、他の物との間にあるから、競争とか値崩れとか起きにくいんだ」

「…ぇ?」

「ん??」

「今、傑作……って言った?

いや、言ってないよね…そんなハイレベルな物、すぐに作れないよね…」


そう言って、ミナミはブツブツ言いだし、現実逃避を始めた

生産を見ているだけなのに…そう、見ているだけなのに

衝撃的な告白を何度も聞かされている気分だ

いや、確実に衝撃だけは、かなりデカい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る