鉛筆までの道のりは…長い

「魔力から作ると普通にしかならないんじゃ…」


と、自分で呟いてハッとする


「もしかして、魔力から作られた炭でも

芯に加工する時には、もう炭として存在してる物だから

変化させる…という中級の錬金術になるって事なのか!」


結果から考えると、この仮説以外には、考えられなかった


「と、なると…やっぱあの鉛筆はそもそも魔力から作られたのか…?」


ユウキの買ってきたあの鉛筆には、品質が付いていなかった

となると、様々なパーツを作り…それをさらに加工した…とは考えにくい

魔力から出した物でも、また加工を加えれば、品質が付く事は今分かったからだ


(ココの人にそれが全て通じるかは分からないけど…

僕も、この世界のルールからは外れてないはずだし…多分、一緒じゃないかな…)


そうなると、あの鉛筆は魔力から生み出したものになる

別にそれはダメだ…というわけでは無いが


(何だろう…しっくりこないな…

ボックスでは、品質がついてるのが普通って感じだったから…かな…?)


と、色々考えたが、今度シーヴァにでも聞いてみよう…と言う事で

そこでこの思考は止めた


「さて、次は…」


ユウキはインベントリから、加工していた木材を取り出した


(そういえば、コレ鑑定してなかったよね…)


◇木材(細)【傑作】◇


細い木材

細かい物を作る時によく使われる

耐久度が高い


(なるほど…とりあえず、この木材は鉛筆の長さにはなってるけど…

幅はこのまま使えるかな…?あとは…形だけど…木材は四角…

店で売ってる鉛筆は八角形…前の世界じゃ六角形が多かったかな…?

あと、丸か…どの形が使いやすいんだろう…?

八角形だったら角落とすだけだから加工はしやすそうだけど…

六角形は難しいし…それは丸も一緒か…

なら、簡単に八角形かな…)


どの形を作るか決めた所で、ユウキは道具を取り出し

木材の角4つを落としていく

地道な作業を続け…何とか40個作り上げる


「ふぅ…地味に疲れる…

でも、あとは芯を通すだけ」


しかし、そこでユウキの手が止まる


(…どうやって、真ん中に芯通すんだ!!?)


芯と同じ細さの穴を開けなくてはいけないが

それをするには、今持っている道具だけではいい方法が思いつかない


(錬金術で変化させれば出来上がるんだろうけど…

でも、それってもう既に木工じゃない気がするし…

何でも、錬金術で解決しちゃおうって感じで嫌だ…)


だが、今日図書館で見てきた木工レシピは、素材が変わるだけで

大きく変わらないレシピばかりだった


(…炭みたいに、またジャンルが違うのか…?

それとも…何か道具が必要なのか…?

はぁ…とりあえず、また『鉛筆』で検索かけるか…)


ユウキは出していた物を片付け部屋を出る

次に時間を確認すると…


「うわぁ…もうこんな時間か…

夕飯の準備とお風呂の準備…」


ユウキはお風呂を準備しながら

食事の準備にとりかかる


「えーっと…今日採って来た野菜を一杯使うか…」


インベントリを見て…


「よし、野菜スープとお肉しよう」


ユウキはメイキングで少し大きめの鍋とピーラーを作り

キャベナとジンにリリンギを取り出す

ジンの皮をピーラーでむいて、小さく切り、キャベナは少し大きめに切る

リリンギは半分に切ってから薄く切っていく

それを、ジンから鍋に入れて炒めて、リリンギ…キャベナ…と加えていく

次に水を入れて、塩や醤油で味を付ける

それをしている間にメーコを炊いて

薄切りにしたボアの肉を焼く


「よし、出来た…っと、風呂そろそろ止めないと…」


お風呂のお湯を止め、ユウキは最大難所に向かっている


「起きてないだろうな」


ノックをしてみても返事は無い

予想通り過ぎて、ため息をつきながら、部屋に入る

やはり眠り込んでいるキョウヤがいた


「はぁ…風魔法発動」

「うわっ!?」


先程と同じ事をして、同じようにキョウヤは起きた


「夕飯の時間だよ」

「あぁ…もうそんな時間なのか…

はぁ~…自力で起きるにはどうすりゃいいんだ…」

(そりゃ、自力で起きてくれたら助かるけどな…)


ブツブツ言うキョウヤを連れて、食卓に向かう


「おぉ!!何か…何かすげー、コレだけ向こうの世界に戻ったみたいだ!」

「キョウヤがそう思う主な理由はメーコのせいでしょ」

「もちろん!メーコが一番だよなぁ!!」

「そう思うなら、自分で作ればいいのに…」

「無理」

「あっそ…」

「てか、お前…普通に料理出来るあたり、女子力高いよな…男だけど…」

「んな事言ったら料理人してる男性は超女子力高くなるんじゃないか?」

「…確かに…うげ…それは何か嫌だな…」


そんな話をしながら、作った夕飯を完食したのだった


「あぁ…そっか…人が増えるんだったよな…」


お風呂も終え、キョウヤは眠り、食器を片付けている時に

ふと思い出した事

人がまた増えるという事は、食器が必要になるという事

今日、スープ用に新たに器を作ったが、もう一組必要になりそうだ


(茶碗と箸以外は作っとくか…)


お皿などは、男女でもあまりこだわらないが

いつも使う事になる、お茶碗や箸は人によってはこだわるだろう

とりあえず、問題無さそうな物を作り、ついでに食器棚もメイキングで出す

そして、その中に食器を片付ける


「さぁて…次来る人は、どんな人なのかねぇ」


次に来る人の事を考えながら、ユウキは眠りについた

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