地道な作業と炭作り

(あ、さっき木材加工のスキル手に入れたよね…

 効果何なんだろう…?)


木材加工の文字をなぞり、説明文を出す


◇木材加工◇


丸太や枝などを材木に加工するスキル

加工にかかる時間や必要な力を軽減する


「へぇ~…少しの力で加工できるって事か…

 しかし、薬みたいに量産出来ないんだな…」


まぁ、薬もすり潰す所は、手作業で頑張っているが…

木材加工においては、ほとんど手作業のようだ

機械などがある…とは思えない…

もしかしたら、工房とかに行けばあるのかもしれないが、行った事が無いので

ハッキリ断定は出来ない

ユウキは大量の枝を1つ1つ加工していく


(枝相手だからな…力が少なくなったとか、分かりづらい…)


元々、そこまで力を要しない相手なので

スキルのおかげで少ない力で加工出来ている…という実感はあまり得られなかった

それでも、加工にかかる時間は少しずつ短縮されてきているのは、分かった

作業に慣れてきた…という所も大きい所だが

やはり、スキルの影響も大きいのだろう


「よっしゃ!結構頑張ったで!」


1本あたりに5分かかっていた加工が、少しずつ短くなり

200本仕上げた頃には、木材加工のスキルがレベル3に上がった所だった


「でも、500は流石に無理か…

 まぁでもいいや…いきなり、そんなに沢山の鉛筆はいらんし」


そんな独り言を呟きながら、時計を確認しようとキョロキョロ辺りを見る

しかし、目的の物は見つからなかった


(そういえば、この部屋に時計置いてないや…)


今が一体何時なのか分からない

隣のリビングのような部屋に行けば時計もあるが…


(ま、キョウヤが呼びに来てないなら、良いよね)


実は、キョウヤの部屋にも時計が無い

しかし、そんな事に気付いている様子はないが…まぁ、大した問題ではない


「やっぱ、炭作りたいなぁ…

 …試し1本だけ作ってみるか

 1本なら、火力もそんなにいらないから、何とかなりそうだし」


そう言うと、ユウキは残りの枝を片付け、1本のみ手に取る


(これ一本だけやったら、風魔法で浮かせて火で焼いたら、問題ないよね~)


まず、風魔法で枝を浮かせてから火をつけると…


「お、やったね、燃えてる燃えてる♪」


枝は、パチパチと音をたてながら、真っ赤な炎に覆われる

浮いているから、延焼もしないので安全だ


「さぁ~て、出来るかなぁ~?」


ユウキはウキウキしながら、枝の燃焼を見守る

細く大きさも小さいため数分で炎は焼き尽くしたようで

火の勢いが弱まり、自然鎮火していく


「出来たかな~?…ん??」


風魔法の上に残っていた物は…


「コレって…炭…じゃなくて…灰だよな…」


残っていた物は、枝の形をした灰…

これでは炭とは言えない…

ユウキはガックリと項垂れる


「この世界では炭が無いのか…?

 いや、待てよ…前の世界だって、普通に焼き畑とかした後に残るのは灰だよな…

 じゃあ、炭って一体どうやって作ってんだ??」


何かのテレビ番組で炭を作っている所を見た事がある

そこでは、確かに火は使っていたので、火を使用するのは間違いない


(いやでも…ココ異世界だし…何か違うのかもしれないし…)


魔獣が魔力によって生まれる場所だ、何か違うやり方があるかもしれない

そう思って、ユウキは…


「明日、図書館で調べるか…」


大人しく、調べる事を決めたのだった

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