知るために

(本屋にいれば2、3時間は軽く潰せるよね…)


今の時間は昼の11時

20時までには、帰って来て夕飯の準備を始めていきたい


(…ん?ちょっと待てよ…

 レシピがあるって事は、作り出した人がいるって事だよね…?)


ユウキは枝を1つ手に取ると、ノミと金槌を使い枝の皮を剥いでいく

そして、小さい斧を使って、鉛筆くらいの長さに枝を切り揃え

それを大量に生産していく


☆スキル:木材加工を取得しました☆


「お!木材加工ゲット!

 っと…後鉛筆に必要なのは…書く部分だよな…

 前の世界だったら…元は炭素だったと思うんだけど…

 この世界にあるか分からないし…」


考え込むユウキ

しばらく考えて…


「この世界の事を知らない…と、言う事は、知ればいいんだよね!

 僕にはそのスキルもあるんだし!」


そう言うと、おもむろにカバンに触れ、鉛筆を一本取り出す


(鑑定!)


◇鉛筆◇


文字を書く道具

持つ部分と書く部分から出来ている


(その元を知りたいんだよ!!!)


何から出来ているのかが分かるかと思ったが、簡単にしか書かれていなかった


(…いや、まだ諦めるのは早い!)


ユウキはノミと金槌を手に取り、ノミを鉛筆の木にあてて…思い切り金槌を振り下ろす


パキッ


そんな音がして、鉛筆の木材部分は虚しく壊れたのだった

しかし、ユウキはそんな事お構いなしで、壊れた木材を全てはずし

中にあった芯の部分だけにすると…


(鑑定!)


◇芯◇


炭を錬金術で加工して出来た物

黒い色を残す事が出来る


「よっしゃ!」


そう、ユウキは鑑定の説明文から何が原料なのか…どんな物から出来ているのかを

知ろうとしていたのだ

求めていた情報を得たユウキは、早速準備にかかる


「炭って事は、この枝を燃やせば炭になるよな」


枝だけはまだまだ一杯ある

しかし、持ち手の部分にも枝がいるので、全部炭にするわけにもいかない


(とりあえず、半分くらいかな…?)


半分くらい…511本使うつもりらしい

燃やす方は一気に出来るかもしれないが、木材にする方はそうもいかない

今のところ、一本一本手作業でしか出来ないのだ


「えーっと…燃やすっても…何処で燃やそう…?」


乳鉢の中で焼けば、乳鉢が黒く焦げる事は容易に想像できる

床で焼けば、同じ木材の床が一緒に燃えて、火事になるだろう


(ん~…炉みたいなのを作るか…?)


今、手に入れている金も加工するとなれば、炉のような所で柔らかくする必要がある

いずれ必要になる物だが…


(この世界にも、鍛冶屋はいるよな…?

 初心者セット的な物にあるか…いや、流石に炉はないか…)


自分の思考に自分でツッコミを入れながら考える

今日の所は、金を加工するつもりは無いので、炉のような物は急いでいないが

炭は出来たら今欲しいのである

まぁ、鉛筆は残り9本あるのだから、急がなくても何の問題もない


(仕方ない…炭は今度にして…先に枝の加工をしてしまおう)


ユウキはカバンに触れ、枝を510個出す

これを今から1つ1つ加工していこうとか考えているのだ

普通にやれば気の遠くなる作業である

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