ドジっ子

(とりあえず、全部出して2人と分けないと…だな)


総量が分からなければ、分けようがない…

というわけで、中に入っていた金塊を全て取り出す


「こ…これは…」

「こ、こんなにあったのね…」


ダンテは予想外の物に、ミーシャも予想外の量に驚いている

シーヴァもあまりの多さに、目を丸くして固まっている


(この世界にも金塊ってあるんだな…ってか、量滅茶苦茶多いな…)

「とりあえず、これをミーシャとシーヴァに分けるんだけど…

 面倒だから、半分で良いよね」


そう言って、ある程度大きさの同じ物を揃えて、その中で個数を半分にする

皆が唖然としている中、ユウキはテキパキと作業をして、半分をインベントリにしまう


「これが、ミーシャとシーヴァの分ね」

「あ…ありがとう…(予想外に多いわね…)」

「サンキュー…」


あまりの量に圧倒されながら、2人はダンテを見る

ダンテはまだ驚きから解放されていないようだ

周りの客も、驚き過ぎて声が出ないようだ


「ダンテさん、換金お願いします」

「あ…あぁ、分かった」

「あぁ~~~、待ってください待ってください~~~」


ダンテが気を取り直して、換金の査定をしようとした時

一人の女性が現れた

眼鏡をかけ、長い赤髪を揺らしながら金塊の傍に近づいた…その時


ビタン!!


「え…?」

「は…?」


その女性は何もない所でコケた

ユウキとキョウヤはいきなりの事に驚いたが

周りにいる人は驚いていない

というより、当たり前の事のように見ている


「ディアナさん、大丈夫ですか?

 相変わらず、よく転びますねぇ~」


そう言いながら、ミーシャがディアナを助け起こす


「ハハハ…本当、ドジっ子の称号に恥じないですよねぇ~

 私的には治したいんですけど…」


ディアナと呼ばれた女性は、ぶつけた鼻をさすりながら

ミーシャに引っ張ってもらい、立ち上がった


「すみません、お初にお目にかかります

 私は、ウサギの耳という情報屋で、情報誌を担当しています

 ディアナです!特技は、一度会った人と情報を忘れない事です!」

「は…初めまして…僕はユウキ」

「俺はキョウヤだ」

「ふむふむ、ユウキ君とキョウヤ君ですね」


そう言いながらディアナはメモをとっている

まぁ、情報誌の担当と言う事は、何か記事になる事を求めているのだろう

という事は、この金塊の山を取材的な事をしたいのではないか…

という予想は安易に出来た


「えーっと…何の用かな…?」


何となく予想は出来ているけれど、あえて聞くユウキ


「こんな山のような金塊を取材しないわけないじゃないですか!

 いったい、何処から仕入れてきたんですかぁ?!」

「(やっぱり…)えっと、仕入れ先は危ないから、まだ言えないかな…

 一応、場所はギルドの方に報告してあるから…その後どうなるかは

 僕には分からないけど…」

「危ないんですか!?それでは、その危なさを教えて下さい」

「ん~と…一歩中に足を踏み入れると

その瞬間ギルドの建物と同じくらいの高さ2つ分くらいの縦穴の中に落ちる」

「な!!?何ですか、その危険な場所は!!?

 なるほど…それでは、情報を上げる時に、その事は大々的に書いておかないと…」

(…これ、やっぱり記事になんだよな…)


スゴイ速さでメモを書き込んでいくディアナ

どうやら、情報誌に掲載されるのは、間違いなさそうだ

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