普通に考えると…

「ちなみに、その穴に落ちた時に助けてくれたのが、後ろにいるお2人ですか?」


ディアナはそう言って、シーヴァとミーシャを見た

2人は驚いた顔をして、ミーシャは慌てて手を振って否定する


「違いますよ、むしろ私達は助けられた方で…」

「じゃあ、この少年達を助けた方は別に…」

「いや、俺はそこに行ってねぇ」

「そうなんですね、それじゃあ、ユウキ少年を助けた方は…

 というか、小さい子どもなのに、冒険しようなんて無謀ですよ~

 お兄さんのキョウヤ君について来てもらうとか…色々あったでしょう?」

「…僕とキョウヤは同い年ですよ…」

「え…」


今日は新たに会う人が多いために、同じイベントを何度も引き起こすユウキ

まぁ、本人はそれを望んでいないのだが…仕方ないだろう

キョウヤはクスクスと後ろを向いて笑っている


「(ったく…実際は僕がキョウヤの事助けてる側なんだけど…)

 僕は誰にも助けられてないよ…しいて言うなら、僕自身が僕を助けたんだよ」

「…と、言うと…自分で何とかしたんですか??

 いくらなんでも、それはあり得ませんよ~

 いいですか~、いくら私がドジっ子という称号を持ってても

 その情報が嘘か本当かくらいわかりますからねぇ~」

「いや、ホントだってば…何を根拠にあり得ないって言うわけ?」


全く信じる気が無いディアナに、少し苛立ちを隠せないユウキ

情報を扱う所だから、その信憑性は大事だ

だから、何でも鵜呑み出来ないという事は理解出来るが

何故、そうもキッパリとあり得ないと言われなければいけないのだろう…

そこに引っかかっていた


「いいですかぁ~、まず高い所から落ちた場合

 対処するには、主に風魔法か少し発展した浮遊魔法を使います

 そして、その魔法を使うためには、魔法陣を書いて

 その魔法を自分の物にしておかなければなりません」

(あ…もしかして、この先って…魔法陣は子どもに書けない…的な…?)


普通の文字ならば、一般的な家庭でも教える事は出来るだろう

しかし、魔法陣は別なのだ

魔法陣は特有の文字…魔法言語…ローマ字なのだ

ユウキやキョウヤからすると、全く難しくないのだが

平仮名やカタカナ…そして漢字を使う事が普通なこの世界では

アルファベットそのものが、よく分からない文字なのだ


「魔法言語は、一般家庭で普通に教育していく上で学ぶ事は困難です

 それこそ、親が魔法を使っていない限り…」

「そういえばそうよね…ユウキ君、普通に魔法使ってるけど…」


ディアナの力説にミーシャが同意する

この世界の事を全くと言って良いほど知らないユウキ

そのユウキが何故魔法言語を理解出来るのか…それがミーシャには分からなかった

まぁ、最終的にユウキだから…という理由で片付けられそうだが…


「はぁ…まぁ、簡単に言ってしまうと…僕は…僕達は魔法言語が理解出来る

 魔法言語の事を知ってるから、理解も出来るし、普通に書く事も出来る」

「まぁ、ユウキ君だし…それくらいあり得そうよね…」

「そうだな…だいたい加護持ちだし、説明出来ない事が出来て普通だろ」

(あ、シーヴァのせいで、余計な事まで説明しないといけない予感…)

「ちょっと待ってください!加護持ちですって!!?

 どっちですか!?どっちが持っているのですか!!?

 そんな特大な情報を一体誰が隠しているのですか!!?

 そんな歴史をも揺るがす事を、何で皆に伝えないのですか!!?」


ディアナは発言したシーヴァに詰め寄る

別に隠していたのはシーヴァではないのだが…

何故そんな大事な話をしなかったんだ…という勢いで迫られる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る