転送魔法への期待

「ったく…なぁなぁ、お前の自宅ってココだろ?」


ユウキはマップを開き妄想少女に確認する

妄想少女はマップを見て、指さされたところを確認する


「えぇ、そうですわ!

 自宅の場所を知ってるなんて…まさか、よば「いや、普通に知ってるだろ」」


妄想少女のセリフを意図的に遮るキョウヤ

ユウキは分かっていないのか、首を傾げている


(…コイツ…マジで疎いんじゃないか…?)

「(よし、とりあえず、自宅の場所が分かればコッチのもんだ)

 んじゃ、その家に帰ってもらうよ」

「嫌ですわ!帰りません!」


嫌だと、妄想少女はユウキに抱き付く

ユウキはニヤリと笑う


「転送魔法、発動」


マップにある妄想少女の家に手で触れ

もう片方の手で妄想少女の肩に触れる

すると、一瞬で妄想少女は消え去ったのだった


「よし、転送完了~」

「お、おま…今何したんだ!!?」


ユウキはスッキリとした笑顔で

キョウヤは何が起きたのか分からず、驚いている


「ん?転送魔法使ったんだよ

 アイツの家は有名だから知ってたけど

 そこに常時住んでるかは分からなかったから、確認して

 んでから、転送場所を地図上で示す事で

 転送先をイメージしなくても良いようにしたんだ」

「いや、まず、その転送ってなんだよ!!?」

「そのまんまの意味だけどなぁ…

 まぁ、簡単に言う瞬間移動的な?」

「何で疑問系なんだよ!!

 って、その魔法ってかなり便利なんじゃないか?」

「まぁ、そうだねぇ

 帰る時とかは重宝しそうだよね」

「行きでも使えば良いだろ…」


大変な事は遠慮したいという思考回路のキョウヤらしい発言だった

まぁ、実際に距離がある所にすぐ行きたい場合は転送魔法を使う方が良いだろう

しかし、採集なども考えているユウキからすると

道中にどんな素材が落ちているか分からない

ので、基本的には歩いていきたい…という所だった


「まぁ、キョウヤが使えるようになれば、キョウヤだけそれでも良いんじゃね?」

「そうだな!よし、俺もさっさと転送魔法使えるようになるぞ!」

「んな気合入れんでも、普通に魔法陣描いたら使えるようになるよ」


ユウキは楽をするために気合を入れているキョウヤに冷たい視線を送りつつ

次の目的地に向かうために、マップを出す


「さて、討伐系はクリアしてるから…

 後は採集系だけだな…とりあえず、体力草から採集に行くか」

「おぉ…ってか、俺が採集するのか…?」

「ん?別にどっちでも構わないけど…」

「俺は地味な作業はあまり好きじゃないんだけど…」

「確かに、そんな感じだよね」


ユウキが作業している所を見る事はあっても

やってみよう…とはなっていないキョウヤである

討伐も同じ魔獣を倒すのは、意外と地味であるが

採集はそれよりも、もっと地味である


「まぁ良いよ、キョウヤは今日疲れただろうし

 僕がやっとくよ」

「はぁ!!?疲れなんて、もうとっくに無いっての!!」

「(…あ、僕無意識にキョウヤを煽っちゃったのかな…)

 いや…まぁ、うん…任せるわ」


これ以上余計な事を言って、収拾がつかなくなると困るので

キョウヤに任せる事にしたユウキ


(キョウヤの対抗心スイッチは一体何処で入るんだろ…)


イマイチ、スイッチのon/offが分からないユウキだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る