お互いに驚愕の事実
「ホント、規格外な新人だわ…」
お姉さんは受け取った水を瓶から一滴出して試験管に入れる
すると、中にあった白い粉と混ざり、青い色になる
「確かに、セレインの湖の水ね」
「そんな調査方法があるんだね」
「勿論よ、セレインの湖の水と称して、その辺の水汲んでこられて
それを依頼人に渡すなんて信用問題だからね」
「たしかに、そりゃそーだ」
「あ、気になってたんだけど…」
「?」
「もしかして…もしかしなくても…」
「??」
「キングブランボアに、単独で乗り込んでないわよね?」
「ぇ?」
「そりゃそーよね、いくら期待の新人君と言えど
ブラウンボアの親玉相手に、単独で切り込んで無事なわけないわよねぇ~」
ユウキが単独で群れを潰すという事は、このギルドでは常識化されてきている
しかし、それはあくまで普通の群れである
一つの魔獣の親玉を単独で倒す…というのは、前代未聞である
そのため、お姉さんはユウキの反応を見て、パーティーを組んだと考えたのだ
「これ…人に力借りてもよかったのか…」
一方、ユウキは単独でやらなくて良かった事実にショックを受けている
パーティーを組めば、もっと楽に倒せたはずである
しかし、ユウキがこの世界でパーティーを組める相手を見つけていない…
という事実を、当の本人は忘れている
「え…まさか…まさか!
キングブラウンボアに単独で乗り込んだの!!!?」
ユウキの独り言がバッチリ聞こえたお姉さん
その言葉を普通に受け取ると、単独で乗り込んだ事になる
勿論、ユウキは単独で乗り込んだのだが
それは、ココでは常識外というか、前代未聞の大事件である
「…あははは…」
「嘘でしょ!!?
単身で乗り込んで、それだけの傷で…しかも討伐してきたって!!!」
ユウキの乾いた笑いにお姉さんは、それが事実なのだと知る
もう開いた口が塞がらないとは、この事である
「あら、期待の新人君が、また何かやらかしたのかい?」
そこへ、近くにいた受付のお姉さんまでやって来た
「聞いてくださいよぉ~
期待の新人君ったら、キングブラウンボアにまで単身で乗り込んだんですよ!!」
「?!本当かい!?」
「えぇ…まぁ…」
皆の反応に、どうしていいか分からず、頬をかくユウキ
「しかも、討伐完了してるし!
これはもう大事件ですよ!」
「…そうだねぇ…
ねぇ、期待の新人君…ちょっとこっちに来てもらえるかな?」
後から来たお姉さんにそう言われて
ユウキは頷くしかなかった
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