初めての恐怖と痛み

「反撃受ける前に避けないと…」


ギュッとインベントリから出した武器を握る

実質ダメージを伴った反撃を受ける事になるのは初だ

そのため、いつも以上に緊張感が漂う

しかも、下手をすれば死亡フラグである


「大丈夫、僕なら出来るっ…」


しかし、ユウキの手はガタガタと震えていた

今まで感じた事の無い恐怖を感じている


「大丈夫だ…大丈夫だったら!

 僕なんだよ…僕なんだから大丈夫!」


自分に言い聞かせるように、叫ぶ

根拠のない自信だが、自己暗示としては成立したらしく

少しずつ震えは収まっていく


(くそ…こんなにダメージ受けるってイメージが恐怖だったなんてな

 僕もまだまだ弱いって事か…

 まぁでも…HP0になる前に逃げればいいんだ…

 あぁ…こんな事になるなら、ポーション持ってこれば良かった)


魔獣のボスを倒しに行くのに、回復アイテムを持ってないとか普通は無い

それはユウキの今までの経験上、その必要が無かったから

今回も、必要ないと判断したのだ

しかし、結果は後悔しかない


「自分より格上に向かってくのに、僕の準備は不十分って事なんだよな

 まぁいいや…今の状態でやれる所まで、やってやる!」


剣を両手で握り、目の前にいる大きなブラウンボアに向き合う

相手は狙われているとは気付かずに、呑気に食事を続けている


「はぁっ!!」


まずは先手、ユウキが切りかかる

キングブランボアは痛みに大きな鳴き声をあげ

ユウキの方に向き直り、ターゲットとして認識する


「100のダメージは通ってる…次、僕が避けないと…っ」


ダメージを確認している間にキングブラウンボアは距離を詰めていて

得意の突進でユウキを思い切り跳ね飛ばす


「ガハッ…」


跳ね飛ばされて背中から地面に落下したユウキ

今までに感じた事の無い痛みに、一瞬呼吸の仕方を忘れる


「っ…はぁっ…マジかよ…」


何とか立ち上がり、頭上の数値を確認する

すると100のダメージがあった事が記されている


(くそっ…ちゃんと避けないと、僕の方が先にダウンだ)


攻撃を終えたキングブラウンボアは、次のモーションまで時間がかかるらしく

その場でうろちょろしている


(…待てよ…次の攻撃にまで時間がかかるとしたら…

 僕の素早さで先に回数先に重ねたら良いじゃん!)


ユウキは距離を詰め、1撃

そのまま2撃目を繰り出そうとした

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る