戦闘と非戦闘

「このガキィッ!!!」

「うわっ…」


先程のようにユウキの首根っこを掴む

ユウキは思わず、先程と同じように男の手を外そうとした

すると、今度は呆気なく外れた


「!!?」

「イテッ!?」


男も驚いているが、ユウキも驚いている

先程は、力で負けたハズなのに


(…さっきと今の違い…それは『戦闘中』って文字だな…

 もしかして…このステータスの数値が有効なのは、戦闘中だけなのか!!?)


なら、先程男の力に勝てなかった事に説明がつく

数値上はユウキの方が上だが、非戦闘状態ではこの数値が発揮されないならば

ユウキの力はどう頑張っても、この男に劣るだろう


(と、いう事は、今なら勝てるって事だな!)


数値が有効なのであれば、ユウキの方が力もあるし

攻撃力もある

そして、相手の攻撃はユウキに効果が無い事になる

先程の男のダメージ数を見る限り、ユウキは男の攻撃に耐えれるだろう


「このガキが…調子に乗りあがって!!!」

「アンタから吹っかけて来といて、それはないだろ!」


男が勢いよく振り下ろした拳を受け止める

別に避けたって構わなかった

しかし、それをせずに受け止めた

それは暗に、攻撃が通じない事を意味する


「ハッ…今のは、マグレだ

 俺の拳を何度もマグレで受け止められると思うなよ!!!」


男は何度も拳を振り下ろしたが、何度やっても結果は同じ

ユウキにダメージ1すらも与えられない

男の脳内では、何で今みたいな状況なのか理解出来ていないだろう


「ねぇ…アンタってさぁ…毎回こーやって人困らせてるの?

 な~んか…またコイツかぁ~って目が一杯あるんだよねぇ」

「俺が親切で教えてやってんだ、困らせてねぇよ」

「いや、僕はただいま絶賛困ってるよ

 図書館の依頼受けようとしてたの邪魔されてさぁ~

 んで、知らんうちにバトルだし…

 それに、そういう必要最低限な所は、受付のお姉さんが教えてくれるよね?

 つまり、アンタは親切心じゃなくて、お前の我儘だろ

 こんなガキが冒険者なんて、認めるか…みたいな?」

「これから、痛い目に合わないうちに、辞めさせてやるんだよ!

 親切だろうが!」

「依頼ってさぁ…討伐から採集…雑用まで色々あるよね?

 難しそうなら、教えてくれるでしょ

 じゃないと、ギルドの信用問題だし?

 だいたい、痛い目ってアンタみたいな奴に絡まれる事だよね」


ユウキのその一言に、周りにいた人は激しく同意した

普通に冒険していく上で、自分の実力以上の物に手を出さない以上

そんなに痛い目に合う事は無い

そもそも、依頼は雑用や採集が大半を占める

討伐系や、魔獣からの採集物で無い限りは、普通に安全だ

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