レティア草原

初バトル

「えーっと…ココはレティア草原か…

 ここを真っ直ぐ進むとラグーンなんだな…」


遠くを眺めるが、今はまだ街は見えなかった

ただ、緑の地平線しか確認できない


「ん?」


ふと左側を見ると、少し離れた所に、道が見えた

勿論舗装なんかされておらず、ただの砂利道だ

それでも、草が生えていない所を見ると、やはり道を称して良いと思われる


「なるほど…」


道に近づき、森に続く方角と街への方角を見る

森の中へは、この道が真っ直ぐに続いているのが見える


「つまり、僕はこの道の平行線を走っていたんだね!

 通りで道に出くわさないわけだよ」


元々道など探していなかったが、道に出くわさなかったという謎は解決した

そして、道を作る程度には、この森に人が来るという事も分かった


「よし、ココを真っ直ぐだな!

 半日って言ってたけど、走ればどれくらいなんだろう?

 と、いうわけで、走っていくぞ!」


初めて行く街が楽しみなのだろう

先程10分間走ったにも関わらず、走って行こうとしている

疲れは何処に置き忘れてきたのだろう…


「草が無い分、走りやすいぞ!」


森の中でも十分早かったのに、更にスピードアップして走っている

このまま何かにぶつかれば、走っているだけにも関わらず大惨事になるだろう

しかし、タイミングが良いのか、いつもそうなのか…人影は見られない

まぁ、半日かかる森にわざわざ出向く人も少ないのだろう


「しっかし、全然疲れないなぁ!

 普通なら、もうとっくにバテてると思うんだけど…

 って、あれか!運動神経抜群の才能か!

 という事は、森を快適に走れたのも、これのおかげか!」


今更気付いたユウキは、運動神経抜群って便利だなーと笑っていた

一人ぼっちで走る事15分

相変わらず人影は見られないが、前方に何かが蠢いている

何匹かで集団を作っているようだが、遠い事とソレが小さい事もあり

何がいるかまでは分からなかった

一瞬止まったユウキだが、すぐにその物の近くに行く


「おぉ!!スライムか!スライムだろ!

 いや、スライムでしかないだろ!!」


近づくと分かったソレの正体

青いゼリー状の動く生物

良く知られている雑魚モンスターである


「…そういえば…魔獣とかも鑑定出来るのか?」


「あらゆる物」と書いてあったし、人のステータスも見れる鑑定眼

それはつまり、目の前のスライムにも使えるはずだ…という結論に至る


「鑑定!」


◇スライム◇


HP:50

MP:5

攻撃力:20

防御力:20


ドロップアイテム:スライムの核・魔石・体力草


◇ 終 ◇


「へぇ…やっぱスライムって名前なんだな

 てかHP50って…少なっ!!

 防御20って事は、僕の攻撃力200から20が引かれるのか?

 それなら…ダメージは180って事になるけど…」


ただでさえ雑魚モンスターが更に雑魚感満載になってしまう

しかし、目の前にいる初心者用の魔獣は倒しておきたい

まだバトル経験は無いのだ…少しでも実践経験は積んでおきたい


「よし、40匹っていう団体様だけど

 こいつらは、ノンアクティブっぽいし…1匹ずつ倒していくか!」


気合を入れて、スライムの前に立つ

そして…


「あ…武器ねぇや…どーしよ…」


先程までの気合は霧のように飛散し、武器が無い事に気付き悩むユウキ

バトル事を楽しみにいていたはずなのに、なんとも間の抜けようである

メイキングで作ろうかとも思案しているが…


「いいや、武器無しで何処までいけるか、こいつらで試すか♪」


ユウキは再び気合を入れ直し、拳を握る

そして、1匹に狙いを定めて殴る

すると、スライムの上に180という数字が浮かび上がり

スライムは地面に倒れ光と共にいなくなった

その場に残ったのは、体力草が1つだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る