真っ白な世界

目が覚めたら

「…えーっと…ココは…?」


真っ白い空間に、小柄な人が一人立っていた

茶髪の短い髪が少し外に跳ねていて、中性的な顔立ちで幼さが残っている

一見して顔からは性別は分かりにくいが

服装は赤いパーカーの下に黒いシャツ、黒いハーフパンツという少年のような恰好だった


「えーっと…ココは何処だ…?

 真っ白以外何も無くて、変な空間だな…

 んー…あ、そっか、これは夢だ…なるほど

 夢なら納得だ!」


独り言を呟き、自分の至った答えに凄く納得して、頷いた

答えが分かれば、大丈夫とでも言うように

ゆっくりした動作で、何も無い地面に寝転がる


「んじゃ、寝れば現実の僕は起きてくれるかな…?

 流石に、この真っ白空間は退屈過ぎだよ

 まったく、夢ならもっと想像掻き立てられる世界が良いよね~」


そう言いながら目を閉じる

しばらく無音の時間が続いたが、いきなりガバッと起き上る


「ね、寝れない…不眠とは無縁で…眠たいと3秒で寝れる僕が…寝れない!?」


寝る事は得意らしく、寝れない事にとても驚いている様子だった

さっきの余裕が少し消えて、慌てだす


「いや、そのうち寝れるだろうけどさ…

 でもさ、こんなつまらん空間からは、早く出たいわけだよ…」


そんな独り言を呟きながら、何とか寝ようと目を閉じる

しかし寝れないらしく、ゴロゴロと地面を転げている


「何で寝れないんだぁぁぁ!!!」

『じゃあ、説明しよう!』

「はぁぁ!!?」


白い空間に人が一人増えた

青い髪の目鼻立ちが整った長身の男性が、初めからいた少年風の人を見降ろしてた

それが気に入らなかったのか、少年風の人は、長身の男性に蹴りをいれていた


『いたい!何するんだよ!』

「てめぇ、身長10㎝くらい分けろよ!」

『初対面に無茶言うなよ!!』

「無茶は承知の上だ!…ったく、何だよ…僕への当てつけか?」

『それは、完全なる被害妄想だ…

 俺は、この状況を説明しにやって来たんだ』

「あぁ…そういえば、そんな事言ってたね

 何で夢の中なのに、寝れないの?」

『簡単に言えば、ココは夢の中じゃなくて、世界の狭間なんだよ』

「へぇ~…世界の狭間…

 は?世界の狭間!!?…って何それ?」

『大きく驚いたのに、事の重大性は分かってないみたいだな…

 まぁ、それも仕方ないが…

 しかし…説明といっても、沢山ある世界の外側…としか言えないな』

「ふ~ん…まぁ、色々な世界の外側って事か?」

『まぁ、そんなとこ』

「なるほど、それは良いとして、何で寝れないんだ?」

『え?結構重大な事だと思うんだけど…それより寝れない方が重要なのか!?』

「そりゃ、寝る事は大事だぞ…疲れが取れるし、脳内の整理にも良いんだぞ

 んで、寝ればこの真っ白くて退屈な世界から、きっと抜け出せる」

『いや、寝ても抜け出せないし、ココでは寝れないぞ』

「マジかよ!!?どーすんだよ!?」

『今の反応はもっと前にすべきだよな!!』


結構重要な話しをしているはずなのに、ただのコントにしか聞こえない会話

長身の男性は、ため息をついて手を頭に当てた

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