ゴーストマンとあいつの結婚

佐藤要

第1話 

 パソコンをしていた時に脳卒中で死んだ中学生が幽霊となり、友人と二人で殺人事件を解決したり、その裏にいる悪党をぶちのめしたりして、なんだかんだで生き返る。

 最後は、闇に堕ちた友人と決闘し、死別する。


 俺とあいつが熱心に描いていた漫画。

 文字にすると何て下らない内容なんだ。


「書き上げた!18巻!」

「悪くない出来だよな。」

 それでも俺とあいつは変な達成感を得ていた。




「今日は遠くまで来てくれて本当にありがとうね!」

 お母さんが俺を見るなり、笑顔で話しかけてくる。

 今日は幼馴染の結婚式。

 

 煌びやかなチャペルに繋がるバージンロードの右側の席に、地元の友人3人と腰かける。

 周囲にはあいつの親族、そしてたくさんの賑やかなあいつの「同期」。

 俺達は明らかに浮いていた。

「おい、なんか居心地悪いな。」

 友人の一人が零す。後ろが騒々しいからだ。職業柄、皆無意識に声が大きい。

「まあ、もうすぐ始まるよ。」

「早く酒飲みてぇわ。」

「披露宴で飲み放題だろ。」

 そんな毒にも薬にもならない会話を交わしながらその時を待つ。


 暫くすると壮大な音楽と共に、扉が開き、外国人の神父が入ってくる。

 その後ろには真っ白いタキシードを着たあいつがいた。

 ふくよかな顔つきで、緊張してるような素振りもどこか滑稽。入ってくるなり何故か会場が笑いに包まれる。

 あいつの同期達は一斉にツッコミを入れる。また笑いが起こる。

 続いて新婦が入ってくる。純白のドレスをエスコートするのは彼女の弟。父を早くに亡くしたらしい。

 弟から彼女を譲り受けると、これまた滑稽な動きで、だがしっかりと彼女をエスコートしてみせる。

 一通りの儀式を済ませると、安心したようにバージンロードを歩く。周りの人間達に祝福を受けながら。

 歩く二人を参列者達がフラワーシャワーで祝福する。

 俺も花を一掴み、あいつに放り投げた。

 あいつは恥ずかしそうに笑っていた。


 幼い頃から変わっていない。



 新郎の「あいつ」とはもう25年近い付き合いになる。 


 小学校3年生の時、その前年に引っ越してきた俺は、イマイチ学校に馴染めていない中、あいつに出会った。

 誕生日の早いものから並べられた適当な席順のお陰で、あいつは俺の後ろに座ることになった。

 最初の印象は悪く、ヘラヘラしながら「~っス」とかふざけた語尾を交えて話す、背ばっかり高くてひょろそうな変な野郎。特に話すこともなく、それなりの付き合いだった。


 そんな関係が少し変わったのは、ある時、休み時間にあいつが絵を描いていた時だった。

 当時どの少年も憧れていた「ドラゴンボール」のイラストだった。あいつは慣れた様子でキャラクター達を一枚の紙に落とし込んでいく。

 絵心が死んでいた俺にはとんでもなく魅力的に映った。

「うわー、滅茶苦茶うまいやん!」

「いやー、模写しただけっスよ。」

 あいつは謙遜しながら笑った。

「将来漫画家になんの?」

「いやー、難しいけどなりたいっスね。鳥山明先生みたいになりたいっスね。」

 あいつは目を輝かせながら言った。

 その日、あいつと初めてまともに話をした。


 それを切欠に俺とあいつの関係は変わった。休み時間に話をしたり、たまに一緒に絵を描くようにもなった。

 小学校高学年になると一緒に帰ったり、遊びに行ったりするような仲になった。クラスのいじめっ子に二人して睨まれたりして、苦労もした。

 中学校に入ると、あいつと一緒に漫画を描きだした。


 漫画のタイトルは「ゴーストマン」。

 

 当時流行していた少年ジャンプや推理漫画をパクりまくった稚拙なものだったが、俺とあいつは毎週1話ずつ、必ず描いた。あいつに比べ、俺は明らかに下手くそだったが、とにかく熱中した。

 ある程度原稿が溜まったら一丁前にあいつの父親に装丁してもらい、漫画本らしく作者コメントやおまけ漫画も描いた。

 そうして描き続けているうち、俺はあいつと同じ夢を抱くようになっていた。

「いつか一緒に漫画家になりたいよなあ。」

「いや、このクオリティでは厳しいよ。」

 この頃にはあのむかつく「~っス」口調はなくなっていた。

「当たり前やろ。でも話は悪くないだろ。」

「いや、ほぼパクりやん。主人公が最後敵になるのは捻ったかもしれんけどさ。」

 書き上げた「ゴーストマン」は2年で全18巻に上った。


 描いた漫画は何故かお互いに半分ずつ持つことにした。

 しかも、俺が奇数巻で、あいつが偶数巻。

 俺達以外、誰が読んでも話が分からない。

 それでも全然構わなかった。

 俺達だけの漫画だった。


 中学3年の時は、お互いの親の意向もあって勉強に集中したが、俺はこっそり漫画を描き続けた。あいつに聞くとあいつもそうだったらしい。

 その後も、当然のように俺とあいつは同じ高校に進学した。

 将来は二人して漫画家になると、俺はいつしか思っていた。

 親友と言える友達だった。尊敬の気持ちもあった。ずっと一緒にいると思っていた。


 だが、現実は俺の思うようにはいかない。

 頭の良かったあいつが地元の旧帝大に、俺が地元から離れた地方大学にそれぞれ進学して以降、徐々に会う機会は減っていった。

 たまに会っても、新しい世界を広げ、現実を充実させて生きているあいつと、漫画家になる夢を微妙に捨てきれない俺とでは感覚が違っていた。


 いつだったか、あいつは漫画家になることはもう考えていない、と言っていた。



 その後、大学での勉強も中途半端なまま失意のうち地元に戻ってきた俺に比べ、あいつは大企業に就職し、大阪に勤務。

 あいつが自分の親にマッサージチェアをプレゼントした話を聞くと、自分の親に申し訳なくていたたまれない気持ちになった。

 その頃、俺とあいつは連絡を取り合っていなかった。

 

 あいつは性格もいい。怒ったところなんて見たことない。誰からも愛されるし、ユーモアもある。

 生意気なだけだった俺は愛情表現か思春期故の苛立ちか、あいつをしょっちゅう意味なく叩いたりしたが、喧嘩になったことは一度もない。

 全て、あいつが寛容だったお陰だ。そうでなければとっくに縁を切られていた。



 競争の厳しい大企業でも、あいつはきっと成功者になるだろう。

 人が羨む人生。


 俺とは違う道を歩くんだろう。そう思っていた。

 俺はようやく漫画を描くことをやめた。



 その矢先、あいつは失踪した。




 俺達は今年で34歳。

 あいつは、地元の親しい友人グループの中では最も遅い結婚だ。

「安定しなかったあいつもやっと身を固めたか」とは友人の弁だが、あいつの生活は今でもあまり安定していない。

「もういつまで経っても心配なのよ。」

 披露宴会場で、俺の隣に座ったあいつのお母さんはそう零した。

 大勢のあいつの同期が参列する中、俺達、地元の友人は行き場がなかったのか、親族席に配置されていた。特に、俺に至ってはあいつの母親の隣だ。

「お子さんはいくつ?」

「先々月に2歳になりました。」

 俺は地元の企業に就職し、そこで出会った後輩の女性と結婚した。今では子供もおり、忙しいが幸せと呼べる生活を送ることが出来ている。

「あらー、もうそんなに?可愛いでしょう。」

「ええ、それはもう。」

「あの子も見習って欲しいわ。全く、いつまでも子供!ずっとやりたいように生きてたんだから、今更どうこう言う気もないけどねえ。ま、こうして結婚したんだから今までよりは良しとしないとね。」

 諦めたような口調だが、顔は嬉しそうだった。

「あいつは大丈夫でしょう。人間力があるから。」

「そうかしらね。でも今日見てると如何に特殊な世界なのかはよく分かるわ。」

 確かにそうだ。結婚式の披露宴なのになんて騒々しいんだ。喋る人間達は、場慣れし過ぎてる。それもそのはず、出てくる人間、皆プロばっかりだ。



 あいつが失踪して一年後、地元に就職した俺を友人達が祝ってくれていた時にその話を聞いた。

「あいつ、大阪でお笑い芸人やってるよ。」

 これには流石に目を丸くした。


 あの日の夜、突然会社の同僚の前から姿を消した。

 当時暮らしていたという社員寮にはあいつの私物が山ほど残され、あいつの身一つ綺麗に消えたとのことだった。

 後にあいつに聞いたところによると、真っ当な仕事に苦痛を感じ、勢いで飛び出した後、行く宛もなく安アパートに逃げ込んだ。その後、何を思ったのか暫くアルバイトをして貯めた金でお笑い事務所の養成所に飛び込んだ。


 それから暫くして、あいつと再会した。見た目は以前と特に変わっていない。話し方も雰囲気も昔のままだ。

 お笑い芸人の世界は厳しい。面白い連中なんて山ほどいるし、生活のためにアルバイトに追われてネタを考える時間も少ない。大変だが、生きている実感を得ている、とあいつは目を輝かせて言った。

「変わらねえなあ、お前。」

 俺はぽつりと呟いた。あいつに聞こえたかは分からないし、聞こえていたとしてもあいつの世界に俺の言葉なんてもう何の意味もないだろう。零れ落ちていくだけだ。

 その夜、久しぶりに「ゴーストマン」を読んだ。

 中学生の描いた漫画を大人が読むのは辛いのだが、不思議とこの日は初めて読むような気持ちだった。

 ところどころ入れてくるギャグシーンを見ては「これがあいつのルーツか」と勝手に思いを巡らせた。

 おいおい、お前自身が漫画のキャラクターかよ。俺達が描いてた漫画とは大分違うみたいだけど。当時、俺は少し羨ましく思った。俺は普通なのにあいつは変わったことをやっている。

 きっとあいつは成功するんだろうな、と。



「しかしね、彼が結婚すると聞いたとき、驚きましたよ。相手がね。同期のあの娘かよ、って。私以外に唯一可愛い同期でしたし。若いし、性格ええし、巨乳やし。同期で唯一ライバルや思てましたわ。」

 もう何人目だろう。同期芸人達による「新郎新婦への祝辞」という名のトークライブはひたすら続く。ちなみに今喋った人は男だ。

 会場にはあいつと、あいつの奥さん(彼女も元お笑い芸人であいつの同期)の同期が30人程いる。

 彼らの多くはまだ現役だそうだ。皆、10年以上続けているが、全国区の芸人などいないし、大阪でも売れているわけではない。それでも諦めずに続けている人間ばかりだ。

 ある一人の同期が酒に酔った様子でくっちゃべる。

「最後の希望として新郎と3か月だけコンビ組んでたんですけどね、僕はずっと続けたかった。でも彼はやっぱピンで最後に半年だけ挑みたいって言ってきたんです。それで駄目ならすっぱり諦めるってね。それで泣く泣く解散したんですよ。そしたらそっから一年半続けよって・・・・・・。」

 

 そして、あいつはもう芸人ではない。



 3年前の大晦日だった。

 毎年一回、仲の良かった地元の友人達と年末年始に集まる。1年ぶりに会ったあいつは疲れていた。

「実は、もう芸人辞めようと思ってる。」

 酒もそこそこ回った頃、下戸のあいつはそんなことを語りだした。

 理由は二つ、これだけやってやはり目が出ないということ。そして、彼女のこと。どこかで区切りをつけなければいけない、と思っていたと言うのだ。

 俺達はあいつの決断を惜しみながらも讃えた。俺達にはあいつみたいな真似は出来なかった。それは素直な気持ちだ。

 だが、決してそれだけではなかった。

「でも、ちょっと安心したわ。あいつでも上手くいかんのやな。」

 友人の一人が何気なく言った言葉に俺は恥ずかしくも共感した。

 

 あいつは、俺達の感覚では「特別な奴」だった。

 あいつと出会う奴の多くはあいつを無視できない。それは時には敵対心として、そして多くは愛情と友情を抱いて。あいつに対して親友だと思えるくらい友情を感じていたのは、きっと俺だけではないだろう。少なくとも、ここに集まった奴らの多くはそうだ。

 勉強で勝てたことは一度もない。絵を描くことでも、人を笑わせることでも、あいつは皆に注目された。

 それは純粋に凄かった。誇らしかった。楽しかった。

 お笑い芸人になった時も、多くの友人があいつを応援した。

だが、皆どこかで嫉妬の感情を抱いていた。


 やっぱりあいつだ。

 あいつは俺達とは違う。

 俺達の中であいつだけ違う生き方をする。

 何であいつだけ。

 あいつだけ。

 あいつだけ。

 あいつだけ。




 失敗して堕ちろ。




 しかし、あいつが芸人を辞めると聞いたとき、俺は無性に悲しかった。

 あいつに嫉妬の感情もあったのは確かだが、それと関連して勝手に神聖視していた部分も多分にあった。

 俺達がどう思おうと、あいつは関係なく突き進むはずだ。あいつは主人公で俺達はきっと脇役。だが、あいつが脇役だとしたら俺達は脇役ですらない。

 あいつの成功は俺達が望んでやらないといけない。

 勝手にそんなことを考えていたのかもしれない。


 奇しくもその時、俺は生まれた初めてといっていい程、人生を満喫していた。仕事もやり甲斐があり、私生活も充実してきたのだ。

 この話を聞くまで、俺にとってもあいつの存在は小さいものになっていた。



 あいつが芸人を辞める。

 あのくだらない俺達の漫画のワンシーンがフラッシュバックした。


 幽霊になった主人公が生き返った後、善良だった友人は周囲に理解されず、悪に染まってしまった。

 そして、最後は主人公と道を違ったまま、争い、死してようやく分かりあった。

 

 中学生の描いた幼稚な漫画。

 だが、俺はそのシーンを忘れられなかった。他でもない、一緒に描いたあいつのことだからだ。

 俺達の人生は漫画ではなく、また、この世に善も悪もないが、誰かが上手くいっている時は、誰かが神様に袖にされているのかもしれない。

 そして、一度離れてしまうと、最後まで交わらない。

 あいつが誰かに愛されているとき、俺は全く目立たない存在だった。俺が失意の底にいた時、あいつは大企業に勤め、高給を得ていた。俺が就職した時、あいつは逃げ出した。

 全く違う人生を歩いている俺達を、神様は天秤にかけるようなことはしないと思いたい。



 席に運ばれてきたワインをグラスに注ぎ、口を付ける。

 酒を飲んでもあまり酔っている気はしない。

 ふとあいつと新婦の方を見ると芸人仲間と写真を撮っていた。

 皆、揃って同じポーズを取っている。あいつの現役時代に掴みで使っていた持ちネタだ。

 何となく、あいつと話したくなった。

 隣にいる友人に声を掛ける。

「おい、そろそろあいつと写真撮ろうぜ。」

「まだ芸人達がいるよ。」

「いいじゃん、別に。付き合いは俺達の方が長えし、遠慮してどうするよ。」

 そう言って席を立つ。地元の友人3人と一緒にあいつのいる主賓席に向かった。

 芸人達は俺達の存在を認めると、気を使って自分達の席に戻った。

 俺達が現れると、あいつは頭を下げた。

「ごめんな!遠いところまで!」

「いや、普通これだけこっちに友達多かったらこっちでやるやろ。」

 社交辞令に突っ込みを入れる。あいつは新婦に対して、律儀に俺達一人一人を紹介した。

「旦那がお世話になってます。」

 新婦が頭を下げる。

「仕事はあんの?」

「まだまだ2人食ってはいけないけど、嫁のバイト減らせるようになったわ。」

 そう言って笑う。とりあえず順調なようだ。


 昨年だった。

 あいつが芸人を辞めた後、構成作家になったことを聞いた。

 構成作家というのは、文字通りテレビやラジオの番組における構成や企画を担う人間で、タレントのトークやネタ作りにも深く関わっている。

 放送業の裏方でもかなり重要な職だと思う。

 あいつがそんな職業に就いた経緯もまた特殊で、芸人を辞めた日、偶然にもあいつがお世話になっている先輩の番組のスタッフが一人退職し、その穴埋めを持ちかけられたことが切欠らしい。

 これまた漫画のような話だが、それもあいつの人徳や実力によるもので、全てが偶然というわけではないだろう。

「元々ネタ作りとかの裏方はめちゃくちゃ好きやし、プレイヤーとしては喋り下手やし、ちょうど良かったかも。」

 あいつはまた目を輝かせていた。


 ああ、こいつの人生はこうなんだな。

 ある程度年をとった今、ようやくあいつに対する感情を受け止め、冷静に分析できるようになっていた。

 あいつは、別に特別に生きているわけじゃない。

 逃げ出してもいるし、失敗もしている。

 それでも、そこから何かを拾い上げ、それを新たな糧として次の道を切り開いていく。それが正しい道ではなくとも、きっと関係ない。

 自分の意思で生きたかどうか。

 それだけなのだ。

 ずっとそうだった。それだけの簡単な事実。幼い頃からきっと。

 だから、きっとあいつは眩しかった。



「良かったな。」

「まあ、今日は大変なのも忘れるわ!」

「おめでとう。」

「ありがとう!」

 そんなありきたりな会話を最後に交わして席に戻る。そこでようやく席に置かれたメッセージカードの存在に気付く。

 参加者一人一人に新郎新婦が送ったものだ。

 俺はその小さな紙を開いた。

 さっき聞いた遠くから来たことへの感謝が綴ってあった後、こう書かれていた。

「また「ゴーストマン」の続きを描こう!」


 俺は思わず笑った。

 あいつにとっても俺との一番の思い出はやはり「ゴーストマン」なのだ。

 俺はあの時の情熱を思い出す。

 くだらない、でも信じられないくらい楽しかったあの時を。

 

 俺とあいつがゴーストマンの続きを描く可能性はもちろんゼロだ。

 もちろん、今は。



「その時、僕は彼女を守らないといけない、と。これからの人生、彼女のために使わなくてはいけない、とそう感じたんです。まだまだ頼りなくて一人前じゃない。でも、絶対、絶対大丈夫です!」

 式も終わりに近づき、あいつが最後の締めの挨拶をする。

 結婚式のマナー本に載っているような普通の挨拶ではなく、彼女に対する生の感情を込めた、力強い言葉だった。

「なので、あの、おじいさん、おじい様・・・・・・。安心して、ください!」

 そうかと思えば、急に滑稽にも弱気になり、また同期芸人達からツッコミが入り、笑いが巻き起こる。


 愛する人とたくさんの仲間に囲まれて。

 お前、幸せそうだなあ。

 でも俺も今は幸せだ。


 次に俺達が会う時はどうなるんだろうな。

 暫く会えないだろうな。お前はガムシャラで、家庭も出来た。次に会う時は子供もいるかもしれないな。

 どっちかが落ちてて、どっちかが上手くいってんのかな。今までの経験から、お前の方が上手くやりそうだけど。

 でも、いつか会った時、その時、お互いに上手くいっていたら、続きを描こう。


 20年も前の荷物を俺はまだ捨てずにいる。

 懐古ではなく、まだどこかで夢を見ているんだ。

 おっさんが夢想など語るもんじゃないかもしれないが。



 俺は今でもずっと続きを考えているよ。



 おめでとう。

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