第6話夏休みの宿題を最終日にやる奴は何事も危うくなってからやる奴
ローのもとで剣を学び、時間を作っては森に行きスキル採取。そんな日々。一週間くらい経つとローが何か言いづらそうに言ってきた。
「俺の言い方が悪かったな。隠蔽スキルはこのあたりに住むモンスターは持って無い。つーかこの辺りはゴブリンしか出ん。奥にいけば他にもでるが…」
そう胸を張って言う。
「は?」
さっきまでの言いづらそうな顔は何だったのだろうか。にしても、もっと早くいって欲しかった。ちょっとローに殺意にも似たものが湧きかけたが、師匠と言う事もありなんとか堪える。
そんな衝撃的な事実を打ち明けられるが、結果的にスキル増えたしーーゴブリンから採れるものばっこりだかーーそこまで気にする事でもなかったように思う。そうしてモンスターを狩り、魂を吸収するにつれ、気づいたことがあった。
最初はただの黒い点みたいな気にも留めないものだったのだ。だが、日に日に大きくなっていき、今では心臓の半分くらいの大きさ位の痣と思われるものが左胸にできていた。
特に痛みも無いことから、気にはなりつつも放置する方針でいくのだった。
それから二年、剣を学んだり、ゴブリンを狩りまっくたりと結構平穏と言える生活が続いていた。のだが、修行にのめり込んでしまい、ルナとの約束を反故にしてしっまった時があった。その時には面と向かって大っ嫌いっ!と言われてしまい結構ショックを受けた。
謝って謝って謝り倒し、何とか仲直りは出来た。が、心の耐久値が結構減ってしまった。今度からは約束はしっかり守ろうと心のメモ帳に十回連続で書き込んだ。
ちなみに仲直りする際に謝ったとき、私はセリーよりお姉ちゃんだから許してあげる、偉いでしょ!とちょっと上から目線の謎理論を持ち出されたが、喋っている最中に舌を噛んで涙目になっていた所為で、締まらなく昔と変わっていないなと思ってしまった。
モンスターを吸収しスキルを得る日々ーーゴブリンーーばっかだったが、かなりステータスも上がりローからあんな小っこかったのによくもここまで育ったもんだ。と親指と人差し指で豆粒位の大きの隙間を作りながら嬉しそうに話された。
何だ豆粒って…どこのエ○ワード・エ○リック
だよ。錬成するぞ、こら。
名前 セリム・ヴェルグ
種族 :人族
年齢 :7歳
レベル :23
体力 :320
魔力 :240
筋力 :390
敏捷 :170
耐性 :115
スキル
剣技 LV4
筋力強化 LV4
拳技 LV3
命中率上昇 Lv3
少し前からルナが修行についてくるようになった。理由を聞くと、一人で遊ぶ相手もおらず暇なんだそうだ。
いや、この村にも俺以外の子供いたよね。その子と遊べるでしょ?何、さらっと子供は二人しかいない設定にしちゃってんの。
そう言うと、いーやーだーと手足をバタバタさせ木剣を振り回した。頬を掠り、冷や汗が流れた。それからはもう説得は諦め、ルナも剣を習いだした。暇つぶしにちょうど良いということで、理由はあれっだたが、結構才能があったらしく数年前から習ってる俺に迫る勢いなんだそうだ。
オカシイ…数年前から習ってるはずなのに一年ちょっとしかやってないルナに抜かれる…このままでは主人公としても俺の立場がなくなる…それをさりげなく伝えると、
「なら私がセリを護ってあげる」
だそうだ。
セリム・ヴェルグの立場が危うい。危機感を覚えた俺は、護られるのは嬉しいが出来れば護りたいなぁと思う。そもそも護るために力を付けようと思ったのだから 。
そんなことを考えながら歩き、森につく。ゴブリンしか出ない森だ。木が欝蒼と生い茂りだからと言って薄暗いとかはなく木々の隙間から日の光が差し込み、天使の梯子だったかな…を作り出している。緑の匂いが香り、気分がすぅーとなっていく。
今回はいつもの所ではなくもっと奥に進んでモンスターを狩る。今までと同じではルナに抜かれてしまう。
持てるもの全て駆使してでも、負けられない。そう、男には負けられない戦いがあるのだ。
ゴブリンはもう相手にならない為もっと強いのを求めて奥に進むんだ!…こんなことは建前にすぎないが俺は負けられないんだ。と謎の対抗意識を燃やすのだった。
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