第241話 guard&wisdom:レキータの恥部、完全終了

 

 剣技と魔法を見せ終えたレキータの異世界人は汗を拭う。

 

「さて、美しい皆さん。目は覚めたかな?」

 

 そして意気揚々とこちらに歩いてくるが、卓也達はリルが宣言した通りに『見た』。

 なので彼には構わず側近のクロノと話し合いをしていた。

 ……レキータの異世界人に施す教育のことで。

 

「まずは外に出してセリアールにおける常識と現実を教え、そしてどのような異世界人がいるかを伝えるべきだろう。このままレキータの恥部として突き進ませるにはあまりに可哀想だ」

 

 和泉はそこまで言って、ふと気付いたことを付け加える。

 

「あとは戦闘訓練もだな。魔法の才能があっても所詮は異世界人だ。論外な奴らでなければ最初から戦闘などできん」

 

「家庭教師をつけるっていうのは、ありかもしれないな。オレ達も凄く助かったから」

 

 卓也も和泉に乗じて提案を出す。

 特に家庭教師というのは、自分達がこの世界に馴染む為にもすごく役立ったことだ。

 

「そうですね。前向きに検討させていただきます」

 

 クロノも二人の言葉に頷きを返す。

 さらにレイナも口を挟んだ。

 

「いっそのこと、異世界人の勇者達と会わせたほうが早いのではないか? 目が覚めるにはちょうどいいだろう」

 

「やめておけ。タングスの勇者以外は心がへし折れるだけだ」

 

 和泉が首を振る。

 けれどミルが異を唱えるようにフィンドの勇者の名を口にした。

 

「マサキも、駄目?」

 

「確かにミルの言うとおり、あの人だったら問題なさそうだが……。ズミ先、マサ先でも駄目か?」

 

「駄目だ。イケメンで世界屈指の実力の持ち主で性格もいい王道の勇者だ。全方面、隙なく打ちのめされて卑屈になりかねない。うちの人外ズより性質が悪い」

 

 性格容姿込みで考えれば修と優斗以上である完璧生物に対し、ただの一般的な調子乗っている人間が会ってしまえば正樹が何もせずとも心が折れる可能性は高い。

 

「ハルカはどうなのよ?」

 

「脳内ホモ祭りの女勇者と会った段階で思考停止するだろ。そもそも貴族に結婚勧められて辟易してるのに、女好きなレキータの異世界人と会わせたくない」

 

 ただでさえブルーノやワインにキレているのに、そこにレキータの異世界人が加われば地獄絵図でしかない。

 けれど自分達以外の異世界人に会わせる……というより一般的で常識的な日本人に会わせる提案はありだろう。

 和泉は側近に訊いてみる。

 

「他に異世界人と会う伝手はあるのか?」

 

「幾つかはあります」

 

「だとしたら、その異世界人達と会わせたほうがいいかもしれん。真っ当な思考になる可能性が僅かでも生まれる」

 

 頭が固すぎれば無理かもしれないが、どうにかなる場合だってある。

 一縷の望みを掛けるにはありだろう。

 

「このような事態になってしまったというのに、我が国の異世界人の為に提案もしていただきありがとうございます」

 

 側近が丁寧に頭を下げる。

 けれど和泉達は気にするな、といった様子で表情を崩した。

 

「いや、俺達にとっても良い教訓になった。面倒事を請け負ってくれている仲間がいない場合、どう動くべきなのかをな」

 

「この身が騎士である以上、いかなる状況においても護れるようになる必要がある。団長や副長に対処法を確認しておきたくなった」

 

「なんていうか、立場っていうのがオレ達にも出来たんだってことを改めて思い知ったよ」

 

「あたしは感情だけで怒ったら駄目だって教えてもらったわ」

 

「俺はちゃんと頑張っていこうと改めて思った」

 

「克也と、がんばる」

 

 各々がレキータの異世界人と関わったことで自分の立場や状況を再確認することが出来た。

 全員で顔を見合わせると、レイナが号令を掛ける。

 

「よし。では帰るとしよう」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

 踵を返した瞬間、完全に蚊帳の外だったレキータの異世界人が声を張った。

 

「どうして帰ろうとしているんだい!?」

 

「どうしてと言われても、見ただろう?」

 

 代表してレイナが応対した。

 見るだけは見たので、これ以上は関わる必要がない。

 けれどレキータの異世界人には彼らの行動こそ想定外。

 

「だ、だったら俺が“特別な異世界人”だということは分かったはずだよ」

 

「どこからを特別と言うのかは分からないが、お前の程度は把握した」

 

 レイナ的には普通の異世界人だとは思うが、統計を取っていないので断言はできない。

 なので実力は分かった、という体で返答する。

 だがレキータの異世界人はレイナの言葉に笑みを浮かべ、

 

「そう、つまり彼――いや、君達は俺に勝てないんだ」

 

「なぜだ?」

 

「俺のような人間のことを――『最強』と呼ぶからだよ」

 

 完全に不意打ちだった。

 決まった! と内心で思っているであろう格好付けた表情のレキータの異世界人。

 しかしリライト組の頭に浮かんでくるのは、どや顔ダブルピースしている始まりの勇者と魔王の如く高笑いしている大魔法士。

 イエラート組でさえ優斗の顔が脳裏に浮かぶ。

 なのに今、最強と名乗った存在は魔物と戦ったことすらない異世界人。

 詠唱破棄によってかなり弱体化した中級魔法と、“ディヴァイン・スラッシュ”とかいう必殺技で最強を意気揚々と名乗った。

 そのギャップにやられ、せっかく今まで我慢していたのにリライト組が耐えきれず肩を震わせてしまう。

 

「こ、この自己紹介は中々に強烈だ」

 

 和泉が笑わないように顔を背ける。

 優斗は大魔法士の意が最強なので名乗っても『なるほど』と思えるが、ただの異世界人が自信満々に最強だと名乗るとやばい。

 

「耐えろ、和泉……っ! わ、私も戦ったことがない人間がまさか言うとは思っていなかったが……っ」

 

 レイナは引き籠もりが最強と名乗ったギャップにやられ、真面目な彼女からは考えられないほどに笑うのを堪えている。

 けれど卓也とリルは駄目だった。

 きつく閉じていた口元が崩壊する。

 

「わ、悪いんだけど、もう無理だ……っ!」

 

「あっはははははは! あ~、もう、笑わせないでよ。もしかして最強程度であたしが揺るぐとでも思ってるわけ?」

 

 目元に涙を浮かべ、苦しそうに笑い声をあげる二人。

 とんでもなく失礼な態度ではあるが、これはもう仕方ないので側近とて何も言わない。

 とはいえレキータの異世界人が彼らの態度に困惑した様子を見せるのも当たり前だ。

 

「なんか可哀想だから、いくつか助言してあげるわ」

 

 涙を拭いながら、リルがレキータの異世界人に話し掛ける。

 

「あんたは魔法だったり知識だったりのチートを見せつけてハーレムを作りたい。つまりチーレムってやつをやりたいのよね?」

 

「なっ、なぜそれを!?」

 

 いきなり図星を突かれて困惑するレキータの異世界人。

 やっぱりというか何というか、予想が大当たりだった。

 

「それで婚約者や恋人がいるあたし達に目を付けた。あとは確か、あたし達は異世界人のチートに目が眩んで洗脳されてるって話よね」

 

 彼の話から察するに、そういうことだ。

 だからこそリルは言う。

 

「あんたはチート貰って力があるとか凄い知識があるとか自分で言ってるけど、それのどこに惚れればいいの? あたしの好みと合致していないわよ」

 

 どうしようもないくらいにリルの好みと違う。

 力があるから惚れる、ということはない。

 そのことに関しては世界で一番反論できるのがリルだ。

 けれどレキータの異世界人も図星を指されながらも、頑張って言い返してみる。

 

「ち、力があるということはピンチになっても君を救えるんだ。そこに魅力が――」

 

「ピンチになって救うことは、すでに将来の旦那がやってくれたわよ。魅力的には間違いないけど、あたしの場合は卓也だったから魅力的なわけで、あんただと死ぬほどどうでもいいわ」

 

「What!?」

 

 いきなり発音の良い英語ツッコミに和泉も撃沈する。

 テンパッているのか何なのかは分からないが、さらなる不意を突かれてやられてしまった。

 リルも口元を崩しながら助言を続ける。

 

「そもそも異世界人って戦うことに慣れてないんだから、ちゃんと戦闘訓練受けなさいよね」

 

 大抵は戦闘というものに慣れていないとリルは聞いていた。

 それこそが普通であって、いきなり戦闘できる異世界人というのは勇者か異常者、それに類する者ぐらいだろう。

 とはいえ目の前にいるレキータの異世界人は“自称”特別な異世界人。

 なのでこの件に関しては狼狽えつつも反論してしまう。

 

「俺は何事にも動じることが出来ない性格でね。どんな局面に陥ろうとも冷静な部分が出てしまうから、戦闘ぐらい大丈――」

 

「つまりあんたは普通の異世界人とは違う異常者ってこと? そういう男なんて特殊層しか受けないわよ」

 

 リルとしては初戦闘を大笑いしながら圧勝したり、いきなりAランクの魔物が現れたのに余裕綽々で独自詠唱の神話魔法をぶっ放すような男性なんて、恋愛対象で考えると願い下げだ。

 

「最後にあんた、女慣れしてないでしょ? なのにチラチラこっちを見るのはやめたほうがいいわ。妙に変な笑顔もね。あたし達が美少女だっていうのは分かるけど、下心丸出しで触ろうとしないこと。行動全てが不快になってるわよ。単刀直入に言ってキモいわ」

 

「キモいっ!?」

 

 本人としては決まってると思っていたからこそ衝撃が大きいのだろうが、それは大いに間違っている。

 少なくとも正樹のようなイケメンがやるから効果があるのであって、フツメンがやったところで何か起こることはない。

 しかもレキータの異世界人はまるでイケメンのように笑顔を浮かべるので、怖気が走るほど気持ち悪い。

 

「まあ、こんなところかしら。あとは側近やレキータ王があんたの教育をしてくれるらしいから、少しはまともになれるといいわね」

 

 馬鹿は馬鹿だが、悪意のない女好きの馬鹿だ。

 悪気がないことだけはレキータにとっても最後の救いだろう。

 あとはどれだけ矯正できるかが問題だが、それはリル達にとって知ったことではない。

 若干燃え尽きた様子のレキータの異世界人だが、僅かに恍惚な笑みを浮かべているので、あれはあれで問題ないだろう。

 罵倒でもないし反論でもなく助言ではあるが、それでも美少女のリルからの否定された言葉にそうなってしまうとなると、実はMなんじゃないかという嫌すぎる疑惑も生まれるが。

 

「それじゃ、あたし達は帰るわね」

 

「はい。色々とありがとうございました」

 

 側近が頭を下げて見送ったところで今度こそ、全員で王城を後にする。

 そして城門を出て疲れたとばかりに何人かが伸びをしていると、克也が和泉に話し掛けた。

 

「レキータの異世界人に対してちょっとした助言だけでいいのか、ズミ先? 優先みたいに全否定したり罵倒したり脅したりして普通に戻してやらなくていいのか? 今後も変なちょっかいを出されたりする可能性があるんだろう?」

 

「別に俺達はレキータの恥部を正しに来たわけじゃない。おもしろ異世界人がいたことを知っただけだ。それにレキータが教育に本腰を入れるだろう。問題はないはずだ」

 

 最後のリルの助言で放心か昇天しており、やれ誓約書にサインをしろなど言われることもなかった。

 あとで復活したとしても側近がどうにかするはずだ。

 つまり和泉達はこれ以上の関わりを持つ必要はないということ。

 

「そういうものなのか……」

 

 克也は完全に理解することは出来なかったが、それでも問題がイエラートにまで来ることがないと知って安堵する。

 と、同時に再確認しておきたいことを尋ねた。

 

「しかし工場を作ると自然が汚れて精霊が怒ってしまって危ない、ということなんだが……そこまで汚れてしまうものなのか?」

 

 正直、簡単な説明ぐらいだったら克也でも出来る。

 けれど、どうしてそうなるのかしっかりと理解はしていない。

 だから今後の教訓の為にも聞いておきたかった。

 和泉は克也の質問に対して、分かり易いように解説を始める。

 

「レキータの異世界人がやろうとしていることを全て出来たと仮定して話すが、刹那は“公害”という言葉を聞いたことはあるか?」

 

「公害って……えっと、あれだ。工場で汚れた水とか空気とかが広がって、自然が壊れるってやつだ。昔、そういうのがあったことは社会で習ってる。だけど今は日本の技術が発達したから、汚れることってほとんど無くなってるんだろう?」

 

 そのような出来事があってから、日本が厳しくなっているぐらいは克也でも分かる。

 とはいえ実際のところ、公害の元となる排水や排気は無くなっているわけではない。

 

「確かに昔より排水も排気も少なくて勘違いするのも無理はないが、お前が考えてる以上には出ている。ただ法規制に沿った処理を行っているだけだ」

 

 昔よりは確かに出なくなっただろうが、それでも無くなっているわけではない。

 垂れ流して問題ない、ということではなくて適切な処理をしているだけだ。

 

「レキータの異世界人が考える工場のデメリットがこれになる」

 

 工場を作って大量生産して終わり、という風にはならない。

 何事にもメリットとデメリットはある。

 それは今現在の技術とて同じこと。

 

「そしてレキータの異世界人を鑑みる限り、排水や排気が垂れ流される可能性は非常に高い」

 

 なぜなら現代の知識があやふやな上に、“セリアールの知識と技術”が組み込まれていないから。

 最重要なことが両方とも抜け落ちているのだから、問題はさらに大きくなる。

 

「このデメリットは致命的だ」

 

 自然が壊れるだけに留まらない。

 

「この世界の自然を汚染するということは、精霊を汚染すると同義。つまり世界を構成している“モノ”を殺してしまう」

 

 地球よりも危険度が比類なく高い、ということ。

 自然はただ、木や森が生い茂っているわけではない。

 そこには精霊という意思を持つ“モノ”がいる。

 

「以前に精霊を殺す精霊術士を見たことはあるが、問題ないとされるラインはある。しかしレキータの異世界人がやろうとしていることは、レキータに天変地異を起こす可能性が高い」

 

 地球にあったものだけで何も考えずにやろうとする場合、このような出来事が起こってしまう。

 現代知識によるチートの弊害とは、異世界の自然を壊すだけでなく精霊を殺すことにも繋がる。

 克也がなるほど、と唸った。

 

「やっぱりセリアールで知識チートとかって難しいんだな」

 

 単純に何も考えず向こうの知識を披露すればいい、という話ではない。

 ことセリアールにおいて、それでは何も始まらないのだから。

 

「向こうの知識と技術は素晴らしいと信奉する気持ちは分かるが、そこにあるメリットとデメリットを把握しなければ意味がない」

 

 現代に生きていたからこそ、日本の技術は素晴らしい。

 昔よりも発展しているからこそ、知識も素晴らしい。

 けれど表層だけをなぞりデメリットを考えずにいれば、成功はない。

 世界が違う。技術が違う。知識とて全てが使えるわけではない。

 足りない現代技術で作るのであれば、正確さがなく歪な失敗作となる。

 上辺だけの現代知識を披露するのであれば、中身はがらんどうでしかない。

 

「知識を積み重ね、技術を研鑽し、数多の失敗を経て俺達のいた時代がある。なのにデメリット一つ考えず、メリットだけを見据えて再現できると考えるほうがおかしい」

 

 特にレキータの異世界人が披露したのは、現代よりも劣る知識と技術。

 であれば、デメリットは現代よりもさらに大きいものとなって当然だ。

 

「だからといって何も出来ないわけじゃない。俺達が持っている知識は確かに有用で、それをこの世界に上手く流用できれば紛う事なき知識チートになる」

 

 現代知識だけでは出来ない。

 詳しく中身を知らないものだってある。

 けれどセリアールの知識と技術が合わされば、あやふやなものでさえ出来るようになるかもしれない。

 現に今まで召喚された異世界人達はそれを示してきた。

 つまり、

 

「最初から“出来ない”と諦める必要もないわけだ」

 

「……なるほど」

 

 克也は再び、しみじみと頷く。

 出来なくないのであれば、色々と考えるのは楽しそうではある。

 

「とはいっても、俺はまず訓練だ。しっかりと精霊を使役できるようにならないと」

 

 まず大切なのは自分の実力を高めることであって、知識チートをすることではないので隅に置いておくことにする。

 そして六人は宿屋へと戻ると帰り支度をして高速馬車を呼び、乗り込もうとした……その時だ。

 

「……あれ?」

 

 王城へと向かって馬車が通り過ぎる。

 車の中にいる人物が微かに見えて、ミルが首を捻った。

 

「どうしたのよ?」

 

 リルが尋ねると、確信を持てなさそうにしながらもミルは答える。

 

「今の馬車、マサキがいた、かも……」

 

 別人かもしれないが、人相が似ているような気がした。

 思わず卓也と和泉が顔を見合わせる。

 

「……一応、手を合わせておいたほうがいいか?」

 

「そうだな。もし本物だった場合を考えたら、そうしておくとしよう」

 

 すれ違いざまの出来事だから、当人である可能性のほうが少ないだろう。

 しかしリライト組は万が一のことを考えてしまい、王城に向かって合掌した。

 彼らの摩訶不思議な行動に克也は首を捻り、

 

「卓先達は何をやっているんだ?」

 

「万が一でも正樹さんだった場合はレキータの異世界人がご愁傷様になるから、とりあえずやっておこうと思ったんだよ」



       ◇      ◇



 宿から荷物を引き上げ、高速馬車へと乗る。

 すると克也が若干申し訳なさそうに、


「そういえば本当にイエラートへ行ってもらっていいのか? 俺達が頼んだんだから、先にリライトに帰ってもらったほうがいいと思うんだが」


 頼んだ側なのだから、先に帰るのはどうにも義理に反するような気がする克也。

 けれどレイナが首を振った。


「私の護衛はお前達全員だ。だから先にイエラートへ行かなければ、最後まで護衛できないだろう?」


 やるべきことは最後まで。

 なので克也とミルを送ってからではないと、果たすべき義務ができない。


「ありがとう、レナ先」


「気にするな。それが私の役割であるし、それにイエラートには初めて行くのだから楽しみにもしている」


「……レイナ。あんたもしかして、見送るだけじゃないの?」


 何となく別の意図が込められてそうな言い分に、リルが訝しんだ視線を向ける。


「いや、なに。イエラートには世界的な有名人も複数名いることだし、会う可能性は無きにしも非ずと思っているだけだ」


 会えなければ別に構わないが、会えたら会えたでテンションが上がる。

 話すだけでも価値があるとレイナは思っている。

 

「そういえば俺の教官も有名人だって聞いたことあるぞ。なんか前に世界闘技大会で優勝したこともあるらしい」


 詳しい経歴などは聞いていないが、それでも凄い人物だとは耳に入っている。

 だからこそ克也の教官になったらしい。

 レイナは話を聞くと、本当に嬉しそうな笑みを零した。


「それは是非ともお会いしてみたいものだ」

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