十二単
気が付けば春は役目を終えていた。
春牡丹は咲き誇り、花弁を十二単が紗のように包み隠していた。
気が付けば春は夏を演じていた。
二十四節気は七を指し、蛙初鳴は立夏を体現していた。
ピンク色の春は悠々とした青色の夏に代わり
その木に咲かせた桜色の花弁は今は飄々とした緑色に姿を変えていた。
未だ春分は別れの時に取り残されている私は、どこまでも姿を変えていく季節の十二単に着られていて、刹那の時間と着られている事実に切なさを感じた。
ならば私の行く先は一つしかなく、この目は小満に姿を捕らえた。
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