茫漠
私と彼は、とても相性が良かった。
ご飯を食べた時に何も言わずに欲しい調味料を取ってくれる君。
初めて話した話題なのに、よく知っている君。
寝る時におやすみと、言ってくれる君。
それを寝たフリをして聞いている、私。
全てが心地よくて、何を話しても話が合って、今日何が食べたいかなんて言わなくても分かっていて。
そんな関係を心から”幸せ”と感じていた。
心から幸せなこれは、私が願った通り長い長い時をかけて、長い長い進歩の証として、幸せな幸せな愛を育んだ。
そんな幸せが続いて4年になった。
ふと彼の嫌なことに気がついた。
気づいた私は言わなかった。
言うことでどちらかが傷付くのが気がついたからだ。
幸せの形から欠片が落ちた音がした。
ポロポロ落ちていく。
見て見ぬふりをした私は、もはや最初の形とはおおよそ似ても似つかない、それでもなお言葉にするのなら、”無関心”になった。
そっか、これが限界なんだ。
気がついた私は、この心を言葉にして伝えようと思った。
ご飯を私好みに味付けしてくれた君。
我儘を笑顔で受け入れてくれた君。
だからこそ最後まで君は。
そして私はスマホに指をーーーーー
ピコンッ
よく聞きなれたLINEの音が鳴った。
きっとそうだろうなと感じながらメッセージを開く。
やっぱり君はこんな時でさえ、相性が。
私達は。
あまりにも良すぎたんだね。
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