歳の差フレンズ
「くーちゃん」
「お小遣いをあげよう」
「公園にいこうか」
「アイス食べるかい?」
「暑いねえ」
遠く離れたおばあちゃんち。年に二回のおばあちゃんち。
絶対に怒らないおばあちゃん。常に優しいおばあちゃん。
ぼくのおばあちゃん。ぼくのともだち。
小学生になった。
「くーちゃん」
「お小遣いをあげよう」
「学校は楽しいかい?」
「友達のお話を聞かせてよ」
「それと・・・・暑いねえ」
おばあちゃんは見るたび僕が大きくなるって言ってたけど、ぼくからしたらおばあちゃんは変わらない。これが大人なのかな。
中学生になった。
「くーちゃん」
「お小遣いをあげよう」
「勉強は難しいかい?」
「部活のことを教えてよ」
「今年も暑いねえ」
おばあちゃんと僕の身長は同じくらいになった。僕から見たらおばあちゃんは見るたび小さくなっているのだけれど、同時に僕が大きくなっていることを自覚した。
これが大人に近づいてるってことなのかな。
高校生になった。
「くーちゃん」
「お小遣いをあげよう」
「大学に行くのかい?」
「好きな子はできたかい?」
「今年は涼しいねえ」
見るたびしわが増えるばーちゃん。常に優しいばーちゃん。大学?好きな子?
「うるさいなあ」
ものすごく悲しそうな顔をしていた。悪気がなかったわけじゃない。あまりに過保護すぎる。うざったらしすぎる。
今年の夏は、涼しかった。
大学生になった。
「おお、よく来たねえ」
「えっと、お小遣いをあげよう」
「大学に行くのかい?」
「最近忘れっぽくてね」
「えっと…本当にごめんなさいね、お名前もう一度おしえてくれるかしら・・・・」
ものすごく悲しかった。僕の友達。忘れられるってこんな気持ちなんだ。
「くーちゃんだよ」
「ああ、そうね!くーちゃん、ごめんなさいね」
しわがもっと増えたおばあちゃんはものすごく悲しそうな顔をしていた。
悪気があるわけがない。だって僕の友達だから。
社会人になった。
「こんにちは、今度はどちら様ですか」
僕の顔もしわが増えたってことなのかな。
よりしわくちゃになって一つ、涙をこぼした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます