寝転がった少女とリンゴ

小野 大介

前書き

 私は怪談や奇談といった“不思議な話”が好きである。

 こうして書くのも好きだが、観たり聴いたりするほうがずっと好きで、家族や友人はもちろんのこと、仕事で知り合った方や、例えば新幹線などでたまたま席が隣だった方などにも、できるかぎり尋ねるようにしている。

 つまりは取材だが、だからといって、なんの前置きも無しに教えを乞うような無礼はしない。まずは世間話でもして相手の反応を見定め、話ができそうな方であれば自分が物書きであることを明かし、不思議な話を収集しているのだと説明をして、それからお手本とばかりにとっておきを披露する。そうしてから、「こういった話をお持ちではないですか?」とお伺いを立てるのだ。

 すると、ならばこちらもとお礼に話を聞かせてくれる物好きな方が、たま~にだがいる。

 これから紹介するのは、そうして入手した話の一つだ。

 ジャンルは奇談で、タイトルは『寝転がった少女とリンゴ』という。

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