猫に呼ばれる

今村広樹

本編

僕の高校時代に、父が病気で死んでしまって、その葬式がおこなわれた後の話です。

その時の疲れもあってか、僕は風邪をこじらせてしまい、学校で倒れてしまいました。

気がつくと、僕はびゅうびゅうと強い風の中、見たこともない河原かわらにいました。

対岸をみると、父と、父の母、僕にとってはお婆ちゃんですが、2人が談笑はなしています。

「おーい」

と僕は2人にむかって手を振ると、2人は僕をみて哀しそうな顔をしています。

なんでだろうと、不思議に思ってると、不意に

にゃあにゃあ

と、猫の声がしました。

すると、まわりの風景けしきが、

焦って父たちの方をむくと、2人も消えていき、そうしてかすかに

「まだ、ここにきてはいけないよ」

と、という父と祖母の声が聞こえた気がしました。

そして、まばたきをすると、僕は家のベットで寝ていました。

かたわらには、母と飼い犬が心配そうに、僕をみています。

話を聞くと、どうやら僕は、学校で倒れた後、熱があったようなので病欠することになりました。

そして、そのまま、保健室から家に運ばれたみたいでした。

その時、僕は普通に受け答えしてたようですが、覚えていません。

そして、2日くらい寝込んでいたのですが、母はまるでようにみえていたらしいのです。

僕がその間にみたモノは、なんだったのでしょうか?

枕元をみると、子猫の時に父が拾って、10年近くいっしょに育ってきた猫が、すうすう寝ていました。

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猫に呼ばれる 今村広樹 @yono

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