第24話 今にして思えば

 夜、自室でベッドに転がりながら、天井を見上げる。

 今日の夜は、私の大好きなお母さん特製ハンバーグドリアだったのに、あんまり喉を通らなかった。

 ケイ先輩のことが、どうしても頭から離れない。

 すごく青ざめていた。

 それと……ちょっと怖い感じ……。

 あんな顔見たことがない。


 今にして思えば。

 最初から何かがおかしかった……気がする。

 天体観測部の話をした時、ケイ先輩は『私は巻き込まれていない』って言ってたのに、スミカ先輩はケイ先輩を・・・・・心配していたし。

 あの時の、寂しそうな、なんとも言えない顔。

 きっと、私の知らない何かがまだあるんだ。

 でも……


 それは、私が知っていいのかな。

 ケイ先輩には、『今日はなにも聞かないで』と言われた。

 今日は、ってことは、いつか話してくれる、ってことなのかな。

 だけど、前にお話してくれたときに言わなかったことは、あまり話したい内容ではないんだろうし。

 となると、やっぱり話してはくれないんだろうか。

 気になる……けど、踏み込んではいけない……とも思う。

 でも……だけど…………。


 私の思考はぐるぐると定まらないまま、気がつくと眠りに落ちていた。

 夢の中でも先輩は辛そうにしていた。

 何も言うわけではなく、何もするわけではなく、ただ座って――ただ辛そうで。


 起きた時。

 ケイ先輩のあんな辛そうな顔は見たくない――そう思った。


 ケイ先輩には、ゆったり笑っていてほしい。

 『もう、バカね』って頭を撫でて欲しい。

 私に何ができるというわけでもないけれど。

 横で笑っていることはできるはず。


 ケイ先輩に、会いたいな……。

 実際に会ったら、ちゃんと笑えるかわからないけど。

 でも! それでも!!


 ただ会いたい。

 こんなに日曜日を恨めしく思ったのは、初めてだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る