私は彼のことが好きだけど

伊月 夢乃

1-1「一目惚れ」

「おはよ~!」

ガヤガヤと騒がしい、4月8日の教室。


深江美月ふかえみづき青葉あおば高校の2年生。クラス替えを終え、席についた美月は辺りを見回した。

「おっはよっ!」

「わぁ!!お、おはよう、沙也加さやか。」

美月の親友の速水はやみず沙也加は、美月の姿を見るなり、飛び付いた。

「また同じクラスなんて、嬉しいね!」

「そうだね、私も嬉しいよ。」

「しかも、今年のクラスは凄いから!」

沙也加は1人1人を指さしていく。

「まずは、学年1位の赤松絵里あかまつえりちゃんでしょ~。それから、ちょー美人な丹波菜々美たんばななみちゃん!さらに~!」

沙也加は、目を一層キラキラさせて言った。

「学年1のイケメン、降旗優輝ふりはたゆうきくん!!」

沙也加の声と身振りにつられて、振り向く。誰が優輝くんか、美月にはすぐに分かった。

「か、かっこいいね…」

「そうでしょ~。」

「何だか、オーラが違うと言うか。」

サラサラな黒髪、整った顔立ち、可愛い笑顔…美月には全てが特別な人間に感じられた。

「み、美月?おーい、美月~?」

「え!あ、何…?」

「見すぎだよ~笑」

「ちょ、ちょっと…」

ぽーっと美月の顔が赤くなった。

「ほら、席つけよ!」

先生の1言で、さーっと人が席につく。

美月はこの鼓動と気持ちを悟られないように、深呼吸をした。

__私は、彼に一目惚れした。

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