エタニティロード ロリコン隊長とロリ整備士
青島水樹
プロローグ
黒々とした煙を上空に上げながら王国エルドラは帝国フロウによって今まさに滅亡しかけていた。
エルドラの軍人であるエルは王女のネロを抱きかかえて走っていた。
「姫様。しっかりと掴まってください」
エルは焦りを感じつつも走っていると目の前に十メートル程の半壊している茶色いヒトガタが倒れていたのを見つける。
「頼むから動いてくれよ」
エルはハッチをこじ開けるとネロとともにヒトガタの中へと入っていった。
エルはネロを下ろすと差しっぱなしになっている鍵を回した。
《システムスタート。ブレイブ起動開始》
割れたコンソールから雑音交じりの機械音声が聞こえるのと同時にけたたましいエンジン音が聞こえてくる。
「よし、いいぞ。その調子だ」
エルは操縦席に座ると操縦桿を握った。
《ブレイブ損傷率現在60パーセント 燃料パック損傷。予備燃料へと切り替えます》
エルはネロを自分の太ももに座らせる。
「姫様。このエル軍曹が絶対に同盟国のエモンまで送り届けて見せます。ですのでどうか心配なさらないでください」
エルは不安な表情を浮かべるネロに心配かけまいと微笑を浮かべていた。
エルはブレイブを立ち上がらせると城門に向けて走らせる。
「もう少し、後もう少しで……」
城門まであと少し、エルは微かな希望を持ちながらブレイブを走らせる。
突如、コックピット内が大きく揺れた。
《敵弾左脚部に被弾》
エルは舌打ちをしながら、ハッチを蹴り飛ばし、ネロとともに脱出した。
「ちくしょう。ここまでなのか」
エルは後ろを振り返った。
後ろからは灰色かかった八メートル以上の巨大なヒトガタがマシンガン片手に立ち止まっていた。
「姫様、どうかお逃げください。あんなグリム一機、私が壊して見せますから」
エルはネロを後ろに下がらせ、目の前にいるグリムを睨み付けた。
「いいえ、あなたが逃げて」
ネロはエルの前に立ち塞がった。
「姫様!」
「早く行って!」
ネロの足は震えていた。
「だ、駄目です! あなたがいなければエルドラはどうなるのですか!」
「国民を置いて王女一人逃げろと?」
「あなたの気持ちもわかる。だけど私のわがままを聞いてちょうだい」
ネロは自分の首に下げていたロケットをエルに渡す。
「あなたに私の意思を差し上げます。だからどうかこの国のことは忘れないで」
エルは数秒の葛藤をしたのち、ネロに背を向ける。
「エルドラの思いを渡しは絶対に忘れません」
エルは涙を流しながら城門へと走る。
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