噂の五説

あるところに、曜日ごとに家の門に決められた貝殻を飾る

不思議な家がありました。


その家に住んでいる人は何か変わった仕事をしているというわけでもなく

人付き合いが悪いわけでもなかったので

周りの人は少し変わった人、位の認識でした。


ある時その家の住人が少し家を離れなければならない用事ができ

近所の家の人に貝殻の交換を頼んで出かけていった。


頼まれた隣人は遠出する用もなかったので引き受けたのだが

住人が遠出してから五日後の交換の際に貝殻を落としてしまった。


貝殻は少し欠けただけだったのだが謝ろうと思い

隣人は電話をかけたが繋がらず仕方なくその日はそのまま飾ることにした。


翌日、電話をかけようとしたところアドレス帳の中に住人の番号が見つからず

発信履歴を見てもそれらしき番号がなかった。


隣人は驚き住人の家に急いで向かったが住人の家は昨夜火事があったらしく

焼け落ちていた。


しかし近所の人に聞いても誰一人として火事を見た者はいなかった。


その後、家の住人は戻ることはなく隣人が焼け跡を探したものの

飾られていた貝殻は欠片も見つかることはなかった。




唯の噂。

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