「夏」 3 神戸探訪

ミフユ


 お盆最後の日。東京に帰る日が来た。前日には雄一くんと紘子ちゃんには別れを告げて、また年末年始に会おうねと約束した。紘子ちゃんも幼馴染みで私と同じ学年なんだけど雄一くんと一緒だと微妙に私に対して棘があるのは謎。なんでだろう?

 お父さんに言わせると今時の子どもは大変。お父さんやお母さんの小学校から高校時代の夏休みは8月31日まであったんだそうだ。私は24日、ミアキの小学校でも28日には始業式になっている。


 朝、起きるとすぐ隣で寝ていた妹に今日の服装を確認しておいた。

「ミアキ、今日の服装、どうする気?」

「スカートにしようかなあ」

「パンツルックにしておいて。多分、その方がいろいろ都合がいいし」

「ん。じゃあ、そうする」

 妹はそういうとパジャマからジーンズのショートパンツに着替えていた。神社の一つは山の方だし、この格好の方が都合のいい事がありそう。


 祖母は呉駅まで見送りに来てくれた。

「じゃ、みんな元気でね。二人は神戸で無茶するんじゃないよ」

「気をつけて回るから大丈夫。結果はまた報告するから楽しみにしてて」

電車がプラットホームに停車した。私達が最後に乗り込むと扉前でお互いに手を振った。ドアが閉まると私達は窓越しに祖母に手を振り続けた。


 広島駅で新幹線に乗り換え。今度は指定席。2人掛けシートを2列確保していたので向かい合わせに座った。私達は進行方向側に座りなさいと言われた。妹が窓側、通路側が私。向かい側はお父さんが通路側、お母さんが窓側になった。

 朝、早かったのでミアキはしばらくして寝入った。今のうちに充電しておいてもらわないと。流石に小学生は背負って帰れないし。

 お母さんが言った。

「水道筋と国道2号線の交差点に美味しいアイスキャンディ屋さんがあるけど、今もやっているかな」

そう言い出したかと思うとスマフォで検索して結果を見せてくれた。

「あ、やってるわね。帰り、まだ二人が歩けるようなら、ここのアイスキャンディは美味しいから寄ったら。そういう希望があれば頑張れるよね」

「ああ、あのお店は良いよねえ。余力があるとよると良いよ」

へえ。二人とも一押しなんだ。神戸のお店まで気があってるとはね。

お母さんはすぐお店のページのURLをSNSメッセで送ってくれた。

よし。これで目的が達成できた時にもう一踏ん張りする理由が出来た。


 新神戸駅に着いた。新幹線の乗降口で両親と別れた。

「チェックする場所に着いたらSNSメッセで連絡するように」

とお父さん。分かってます。

「二人とも今日も蒸し暑いみたいだから水分はこまめに取って。気をつけてね」

とお母さん。ほんと両親揃って心配するんだから。

「そうそう、ミフユ。これ持って行きなさい」

そういって渡されたのはお母さん愛用の折りたたみの日傘だった。

ベルが鳴り響いた。新幹線のドアとプラットホームのドアが閉まった。ミアキと出発する新幹線を手を振って見送った。


ミアキ


 お父さんとお母さんは新幹線で先に東京へ帰った。お父さんもお母さんも一緒に来たがっていたけど、またすぐ仕事に戻らないとダメらしい。残念。

「ミアキ、行こうか」

お姉ちゃんが私の方へ振り向いて言った。新幹線で少し寝たので私は元気。

「うん。こ、おねえちゃん」

こうして二人で新神戸駅の新幹線プラットホームを出発したのだった。

 今日の調査のスタート地点は阪神深江駅。地下鉄で三宮に出るとお姉ちゃんが私の手を引いた。

「そんなことしなくても大丈夫だよ」

「ここは人が多いから。ここだけよ」

ちぇ。まだ信用されてないんだなあ。もう小学生なのに。

 阪神電車に乗ると車窓を楽しんだ。車窓には山並みが見えているけど、灰ケ峰などの急峻な山並みとはちょっと雰囲気が違う。

くれに比べるとやさしい山並やまなみだね」

「そうね。穏やかっていうのかな。最高峰の標高は神戸の方がかなり高いけど、海と山の近さが違うからね」

 途中で後から来た電車に追い抜かされたりしながら、30分ほどで目的の深江駅に近づいた。

つぎだよ、おねえちゃん」

お姉ちゃんはスマフォを操作して何かメッセを送っていた。

「お母さんとお父さんへの報告はこれでよしっと」

そういうとお姉ちゃんはスマフォをポケットにしまった。すぐ電車は強めのブレーキでプラットホームに滑り込んだ。

さあ、深江駅。冒険へ出発だ。


 駅の外に出ると空気が揺れて見えた。電車を降りる時の元気どこかに行っちゃった。

「暑いね。陽炎がでちゃってる」

お姉ちゃんが溜息交じりで言った。

「かげろう?」

「あの道路の先の方まっすぐに見えないでしょ。陽炎って言って地面の空気が温められて起きる現象。暑いから起きる現象ね」

「ふーん」

一つ勉強になったけど、暑さが増した気がする。

「あんた、とても暑いって事なんだから、小まめに水を飲みなよ」

「うん。わかった」


 最初に向かったのは南。神戸総合大学海事科学部の深江キャンパスだった。ここは昔は神戸商船大学と言っていたそうだ。帆船らしき船の写真が撮られていて検索したら進徳丸という船があったのだという。

「船乗りを養成する学校で、その訓練用に使っていた船が保管されていたんだよ。でも老朽化が進んでいて震災で壊れたから解体されて代わりに記念施設が出来たんだって。それが進徳丸メモリアルなんだって。海事博物館もあるけど今回は無理ね」

「でも博物館はくぶつかんって、見たくない?」

「見たいけど、お盆休みはやってないみたいなのよね。今回は進徳丸メモリアルだけ確認しよ」

 お盆開け前の日で校内は入れないみたいだったので東側の道路沿いから眺める事にした。

「あ、おふねがいるね」

「あれは大学付属の練習船だね。大学祭だったら乗れるみたいよ」

ってみたいねえ」

「大学が船を持っているなんて。確かに気になる」

お姉ちゃんとは好きなことが色々違うと思っているけどたまにこういう時がある。そしてこんな時はお姉ちゃんの方が好きな気持ちが強いんじゃないかなあって感じる。

 そして、その側にマストや船首があるのが見えたのでお姉ちゃんに確認した。

進徳丸しんとくまる?」

「そうだね。あれが進徳丸」

「お祖父じいちゃんの写真しゃしんだとちゃんとした船みたいだったのに」

「震災の前に直す予定だったそうだけど、壊れて解体しかなかったんだって。マストとかエンジンとか一部だけ残した。それでも大事に思う人たちがいたからああやって思い出が残ったのかな」

「ふーん。しあわせなおふねだったんだね」

 近くをお爺ちゃんが自転車でやって来た。このあたりに住んでいる人みたい。

そして私達を見ると自転車を止めてお姉ちゃんに声を掛けてきた。

「神戸商船大の見学なんかいな?」

「あ、いや、進徳丸についてちょっと調べていてここから見てました」

「ああ、まだお盆やからなあ。閉まってるんやな」

「はい」

「受験考えているんやったら大学祭とかオープンハウスに来たらええで。中に入れるし、あそこにおる深江丸も見学かうまいこといけば体験航海に行きよるしな」

「は、はあ」

「怪しいおっちゃんでごめんな。近所の学校やから応援しとるんや。よければ受験したって」

そういうとお爺ちゃんはまた自転車を漕いで去って行った。

 首をかしげながら進徳丸の写真を撮るお姉ちゃん。

「ミアキ、肩車するから写真撮って。もっと高いところから撮っておきたいから」

そう言われると有無をいわせず肩車されてデジカメで進徳丸メモリアルのマストや建物を撮らされた。

今日、パンツルックにしておいて良かったみたいだけど、考えたらお姉ちゃんの誘導だった。まさかここまで考えていたのかな。

「ねえ、ここがお祖父じいちゃんのふね写真しゃしんと同じでいいの?だっておふねがここにあったのってお祖父じいちゃんがくれってからだよね?」

「そう。お爺ちゃんは陸軍だったっていうし学校も別だったから、ここだけ腑に落ちないのよね」

二人で頭を抱えながら、深江駅に近い神社へと向かった。


ミフユ


 次に立ち寄った深江駅の南側にあった神社は空振りだった。ここじゃないらしい。さっさと頭を切り替えて山の方にある神社へと向かう。

晴れ渡った空。恨めしいカンカン照りの太陽。私はお母さんの日傘をさし、妹はその影に入ったり帽子で日射しから逃れようとしているけど、とってもつらい。

二人で早くもバテバテになりながら山が見える方へ歩く。

ふと母から聞いた話をミアキにした。

「神戸の人って山側、海側っていう言い方で方角を示すらしいよ」

「それって北、南って事?」

「らしいよ」

「ふーん。まわりをうみやまかこまれたくれではおもいつけないかた

「そうね」

広い道路に出た。遠くから見えていたけど巨大な鳥居があった。道路幅があって車が鳥居の下を通り抜けている。

おおきいねえ。おねえちゃん」

「ほんと、近付けば近付くほど驚きだね」

そしてこの赤い鳥居がどうやら写真の1枚だと分かった。

信号が青になったので渡るとバックパックからノートを取り出して二人で見た。

「2枚目はこれだね。」

「そうだね」

その写真は巨大な柱の一部が写っていて背景はぼやかされていた。


 その道を更に北へ上がっていき、JR東海道本線と阪急神戸線を越えてカンカン照りのアスファルトの坂道を上がっていくとすぐ小川のほとりにある大きな神社に辿り着いた。境内には大きな木造の鳥居があった。先ほどの鳥居は大きさに圧倒されたけど、こちらは年月を感じさせるものがあった。

「おねえちゃん、ノートして」

妹に言われて我にかえってバックパックからノートを出して写真と比較してみた。

「これも当りかな」


「おねえちゃん、進徳丸しんとくまるはヒントだったのかもれないね」

境内で休みながら妹と話し合った。

おおきな鳥居とりいはすごく大事だいじ目印めじるしだよ。ただその目印めじるしつけやすくするのにもうひとそうとおふねえらんだ。それが進徳丸しんとくまる

「そうかもしれないね。お祖父ちゃんが神戸にいたのは戦争中までだし」

バックパックにノートと水筒をしまった。

「さあ、元気出して次に行こう」


 今度は西の方へ移動。坂道を下って阪急神戸線をかすめて再び山側の方向へ登っていくと小路八幡宮に着いた。所要時間は20分ほど。暑いのでどうしてもペースが下がってしまう。小さな神社で石造りの鳥居があった。

 ノートを取り出すとどうやらここの本殿から鳥居方向を撮ったものだった。

「ここはらくだったね」

「そうね。お祖父ちゃんらしからぬ優しさ感じるわ」


 次の目標はちょっと変速だった。ノートの写真は校門からなのか校庭と校舎の一部を撮ったものだった。候補は2つあった。小学校は戦前2校だけ。近い方が明治初期開校と歴史が古かったのでそちらにまず行く事にした。市立摂津第一小学校がその第1候補だ。

 30分ほど歩いて学校の正門前に辿り着いた。

「学校の建物、ホームページに出ている話だと昭和17年竣工、つまり出来たって書いてある。その後、何回も改装はしているみたいだけど」

「それって何年前なんねんまえ?」

「昭和の場合、25足せば良いから1942年。今は2016年だから72年前だよ。お祖父ちゃんはまだ学生さんだった頃だね」

「お祖父じいちゃん、じゃあ、この建物たてものていたのかもれない?」

「お祖父ちゃんの年齢からいって、ここで勉強した事はないと思うけど建物を見ていた可能性は高いね」

ノートの写真と照らし合わせて見たらここで合っているらしい。おかげでもう一校は回るのは免れた。妹が名前に見合った秋に回ろうと思ってくれていればこんな暑い中歩く事ないんだけどなあとは心の中でぼやきつつホッとした。

 祖母の話だと祖父は地元の私立の旧制中学校から工業専門学校(今の大学工学部相当なのかな)に在学中に陸軍の兵隊にとられたらしい。

ほか学校がっこう写真しゃしんがないのは、お祖母ばあちゃんにすこはなしをしていたからすぐかるし、とおもったのかなあ」

と妹が言った。

「そんなところかもね」


 妹も疲れた顔をしてきたので、カフェか何かないかなと思ったらパン屋さんの中にイートインコーナーがあった。

「ちょっとだけ休んでいこうか?」

賛成さんせい!」


という事で早速飛び込んでアイスコーヒーとオレンジジュースを買って涼みながら飲んだ。

「おひるどうするの?」

「山登りがこの後控えているからそれからにしよ」

「ここのパン、美味おいしそうだよ」

「買っていこうか。で、山頂で食べるっていうのはどう?」

「それ、おねえちゃんらしからぬいアイデア!」

なんか誉められてない気がするのは気のせいかな。妹よ。

 お店を出る前にベーコンを挟んだバゲットサンドや飲み物をバックパックに入れた。

冷凍ケースがあったのでふと目をやるといいものが入っていた。

「あ、これ2本貰えますか」

こちらの支払いを済ませるとミアキとサウナのような蒸し暑い神戸の青空の下へ飛び出した。

「おねえちゃん、それはどうするの?」

「これはねえ。こうするの!」

それをミアキの頬っぺたにひっつけてあげた。

「つ、つめたい!…けど気持きもいね」

「でしょ」

追加で買ったのは凍ったスポーツ飲料のペットボトルだった。頭や首筋、脇に当てて体を冷やしながら登ろうというお姉ちゃんの頭の良さ。えっへん。たまには姉の事を見直しなさいよ、ミアキ。


ミアキ


 あと確認が出来ていない写真は2枚だけ。当りをつけているのは保久良神社。山の上にある由緒正しい神社だってお姉ちゃんに言われた。問題はこの酷暑の中、山道を登るという事だった。

 時折、お姉ちゃんがスマフォでコースを確認しながらもくもくと道路を歩いて行く。九十九折の道に出た。コンクリートに丸型の溝がいくつも入っている。

「ここをずっと、ずっと登って行くから。がんばろ」

と言われた。無論そうするしかないんだけど暑い。時折、水筒の水を飲んで足りなくなった分はさきほど買ったペットボトルの水を詰めて補給した。

木陰を選びながら道路を折り返しながら登っていく。

 そうしているうちに徐々に光景が変わってきた。港の埋立地、海の上を渡る大きな橋とか見えるようになってきたのだ。

見晴みはらし、くなってきたね」

「呉と似たところと違うところと見えてきていいね」

おおきさ、ひろさがちがうのはかるけどなんで?」

「呉は海軍と造船の町でしょ」

「うん。とってもむかしからずっとそうだよね」

「神戸は呉と同じように造船をやっているけど、それ以上に国際貿易港だから、そのための施設を持った港が大きいみたいね.呉はそういう役割はないから自然と規模が違ってくるって事だと思うよ」

「ふーん。じゃあ、横浜よこはまとか東京とうきょうている?」

「そう。そういう面は東京とか横浜が似ているよ」

そして再び神社境内を目指してひたすら道を歩いた。

休憩から1時間も歩いたように感じたけど、実際は20分も掛からずに目的地に辿り着いた。


 ノートを取り出して写真の場所がないかと探す。1枚は例によって鳥居から撮ったものだった。

「ここだね。おねえちゃん」

「ビンゴ。正解で良かった」

お姉ちゃん、外れていたらどこを探せば良いのやらと心配だったらしい。

そして曾祖父母と大叔母と祖父の家族写真。これは石灯籠の前で撮られたものだと分かった。

「おねえちゃん。このいしなにかの説明せつめいはなんていてあるの?」

「これは石灯籠っていうの。灘の一つ火だって。大昔から夜の目印になる灯台として灯されてきたものなんだって」

「お祖父じいちゃんがここでられた家族写真かぞくしゃしんえらぶのってすごく意味いみありそう」

「どうしてそう思う?」

「お祖父じいちゃんにとってはおとうさんとおかあさんとおねえさんがいて、何者なにものかになろうとかおもっていたころでしょ。そういう気持きもちをっていたことおもってしいんじゃない?」

「ミアキの言う事は一つの見方だと思うよ。多分そういう事をいろいろ考えて欲しかったんじゃないかな」

そしてお姉ちゃんは近くの長椅子で東神戸の風景を眺めながらお昼にしようかと言った。


ミフユ


 バゲットサンドを食べながら、私の考えたお祖父ちゃんの意図を説明した。

「お祖父ちゃんは記憶を残したかったけど、語れなかった人だと思う」

 妹は不思議な顔をした。

記憶きおくっておもってくれないとかんないよ」

「そうだね。でもこうやって意図を持って選んだ写真で伝える事は出来る。ちゃんと伝わるかだけど、多分、あんたが思ったような考え方もあるし、それ以外にもあると思う」

 水筒の水を少し飲んだ。

「お祖父ちゃんは写真にわざと戦争の記憶は含めてないと思う。代わりに多分夢見ていた事、例えば進徳丸に乗りたいという意味で記念船の写真を入れとも考えられるんじゃないかな。そして自分が小さな頃から走り回った風景を見て回れるように写真を入れた。戦争は入れたくないから小学校まで。そして少年時代で残った一番の思い出の家族写真を最後に入れたとも考えられると思うのよね」

「じゃ、わたし見方みかた間違まちがい?」

「そんな事はないよ。ミアキが感じたお祖父ちゃんの思いもあるんだと思うよ。お祖父ちゃんにとって戦争はとても悲しい出来事だったと思う。だからその事を直接は語れないけど、私達にとっての曾祖父母や大叔母さんがいた事は知って欲しかったんじゃないかなって思うのよ」

「ふーん。ちょっとまだわたしにはむずしいかも」

「これから折に触れて考えたらいいの。もっといろいろ勉強したら、新しい見方も出てくると思うよ」

 妹にとっては今分からない事が罪に思えていたらしい。この一言でパッと表情が晴れた。

「うん。そうする」

 私は祖父のノートをもう一度開いた。四人家族のスナップ写真。子どもは学生帽を被った小学生と少し年長のセーラー服の少女がそこには写っていた。ちゃんと私達は祖父の思いを読み取れたのだろうか。ずっと考えていかなきゃいけない事なんだろうと思った。


ミアキ


 保久良神社からの帰り道は足が速かった。お姉ちゃんがお母さん、お父さんから美味しいと言われたアイスキャンディを食べに行くよと言われたのだ。

こんな暑い中で「アイスキャンディを食べに行くよ!」と言われて盛り上がらない小学1年生はいないと思う。

 行きの3倍の速さで山道を下ると、お姉ちゃんが私が居眠りしている間にお母さんから教えてもらったというアイスキャンディのお店へと急いだ。

国道2号線と大きな通りの交差点にそのお店はあった。下りはアイスキャンディのために水分は控えめにして喉カラカラでここまで来たのだ。

お店の前には少し人が並んでいたけどすぐ私達の番が来た。

「アイスキャンディは種類がいくつかあるけど、どうする?」

とお姉ちゃんに聞かれた。

ミルク、ミルク金時、カルピス、バナナ。どれも魅力的すぎるよ!お姉ちゃん。

「アイスキャンディは4種類しゅるいだよね。なら全部ぜんぶ。おたがいに2種類しゅるいずつって、もう2種類しゅるい交換こうかんしてのをかじるのは?」

「いいアイデアだね。そうしよう」

こうして買ったアイスキャンディ4種類は私達のお腹に消えていったのだった。もう冷たくて甘くて美味しかった。ミルク金時はもう最高。持って帰る方法があるなら、教えてくれたお母さんとお父さんにも食べさせてあげたい。

でも、なんで二人はここを知っていたのだろう?


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