【公募用】殺人初心者

柿木まめ太

プロローグ

 母に、見知らぬ男がのしかかっていた。二人とも裸で、蒸し暑い夏に部屋のカーテンを閉め切って、布団の上で暴れていた。

 母はその男に苛められてとても苦しんでいた。きつく閉ざしたまぶたと、眉間に寄せられた眉と、乱れた髪が、母の必死さを訴えている。

 障子の影に息子が居た。身を硬くして、じっとしていた。どうしようもなく怖くて、動くことも出来なかった。

 父に知らせなければ。心に固く誓っていた。

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