第40話 聞かせてください あなたの事を
昨日の畑はすごかったなぁ。
僕はいつものように工房でボンヤリしていた。
あれはアルフさんの魔法だったのかな?
でも本人もかなり驚いてたしなぁ。
あのジャガイモはというと、食べてみたら結構美味しかった。
食べやすいサイズに切り分けてスープにいれたり、磨り潰してペースト状にして塩で味付けしたり。
イモが美味しかったというより、リタさんの腕が良かったのかもしれない。
そんなことを考えながらも、作業台に向かった。
昨日の分も今日片付けてしまいたいから。
ギュッギュッ
ゴトン
カンカンカン
ビィーーッ
ギュッギュッ
ゴトン
カンカンカン
ビィーーッビッ
最近気づいたけど、テンポよく作業をすると効率が良いしあまり疲れない。
丁度良いタイミングがきっとあるんだろうな。
そうやって作業を進めていると、入り口のドアが開いた。
アルフさんだ。
何やらちょっと青い顔をしてるね。
「ちょっと匿ってくれ」
「アルフさん、何かあった」
「シッ」
口をつぐむと、遠目の声が聞こえてきた。
「アルフー、どこ行っちゃったんですかー。せっかく可愛い下着買ったんですよ、見てくださいよー。あ、もしかしてこうやって見るだけじゃなくて実際に着てるところ見たいんですか?本当にしょうがないですねー、このムッツリ総大将!」
そんな大声を出しながら遠ざかっていった。
あれは恥ずかしくならないのかな?
「アルフさん、一回ガツンと言った方がいいんじゃない?」
「口で言って治まるなら、半年は前に大人しくなってたな。」
そう言って絶望に身を浸したような顔されてしまった。
ごめんねアルフさん、悲しませちゃって。
「そういえばアルフさんって人族なんだよね?」
僕は空気を変えるため話を振った。
「まぁ、そうだな。」
「人族なのにどうしてそんなに強いの?」
「んー、その話長くなるぞ?」
良かった、ちょっと元気になってきてる。
「魔王様、私にも聞かせてください。」
「ミレイア、どっから出てくるんだい。」
なんで机の下から出てきたの?
いつからそこに居たの、全然気づかなかったよ。
「魔王様、ぜひその伝説を教えてください。」
「そんな大層な話じゃないんだがな。」
「僕も聞きたいなぁアルフさん。」
「まぁ、話すのは構わないが。」
そういってアルフさんは思い出すように語ってくれた。
でもそれはこんな気軽に聞いていいような、そういう類いの話じゃなかったんだ。
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