名刺バトル デュエル・オブ・トラバーユ ~異世界で、悪徳上司に倍返し!~
にのい・しち
第1話 月が、綺麗ですね
――――名刺、それは、営業マンにとって、ビジネスシーンで戦う武器
――――――――名刺、それは、会社員にとってのステータス。
――――――――――――名刺、それは、企業戦士にとっての最強の魔法。
***
――――――――静かに輝く満月。
主とする惑星の回りを、引力という、見えない現象により、つかず離れずの位置を保っている。
それは、まるで魔法のような、不思議な力だった。
満月は自らの輝きを、誇らしげに掲げ、夜の地上を照らす。
暗い地を這う、哀れで下等な存在に、恵みを届けるかのように、自身の黄金の光を降らせた。
だが、そんな、プライドが高い月の、優越感は踏みにじられる。
天空から見下ろすと、月より眩しい光りの円陣。
山や森は、暗闇で、輪郭しか見えないというのに、この月は、地上から夜空を照らそうとしている。
地上にも、自分と同一の輝きがあるのかと、月は嫉妬する。
しかし、その地上の月は、自身と違い、異様な熱を感じる。
輝く円形から、伝わる熱に当てられた月は、興味を示し、この地上の月で何が起きているのかを覗き見る――――――――。
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