残酷すぎるこの世界で

ヒマジン

序章:狂気

それはある日の事だった。平穏な日々を送っていたいつも通りの人達、動物、そして俺。

「ふぁぁ〜」

大きなあくびをして早朝、目を覚ますと、街が妙な静けさで覆われていた。気味が悪かったが、特に気にしなかった。いつも通りだからだ。

「おはよ〜」

と言うと、

「おはよう」

と返ってくる。いつも通りの日々。しかし、その日は違った。両親は魔物に殺されていた。見るも無惨な光景だった。首はちぎれ、内蔵は飛び散り、キッチンが血まみれだった。その瞬間、俺の中で何かが壊れた。

「うそ……だろ、なんで……死んで……あぁ……はは……あっはははははは!」

俺の歯車が狂い出した瞬間だった。

ガチャッとドアの開く音がした。

「生存者はいるか?」

俺はその兵士を殺した。

「あっはははははははは、死ね死ね死ね死ね!」

喉を切り裂き、腹を裂き、目を抉り、気が付くと、牢に拘束されていた。

「俺は……いったい……」

すると、ドスの効いた声で、

「ようやく目覚めたか、処罰の時間だ」

俺には理解出来なかった。その時の事をあまり覚えていないからだ。

「処罰……とは?」

「選ばせてやる」

「はい?」

「DEAD OR ALIVE、つまり生きて魔物の殲滅に協力するか、死んでそのくだらん人生に幕を下ろすかだ」

「それって……」

「あぁそうだ、死ぬのが早いか遅いかの違いだ」

「やっぱり、俺は一体何をしたんですか?」

「忘れたとは言わせん、国軍の兵士を30人も惨殺したのだ」

「え……それは事実ですか?」

「そうだ、それも全員が喉を切り裂かれ、目を抉られていた」

吐き気がした。

「貴様に出来る選択は二択だ、早く選べ」

「生きたいです」

この時はまだ、俺の内なる狂気について、誰も知らなかった。

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