希望

池野向日葵

第1話

「来年は同じクラスになれたらいいね。」って書いて送った元カレへの年賀状。次の年の春、クラス替えの発表で、表を見たら、元カレと同じクラス。けど、私たちは2月の終わり頃に別れていた。だから、大分気まずい感じになった。そして、それを知っていたのか知らないのか、よく分からない担任の先生が席替えで、私たち二人を隣の席同士にした。私の望んだことだけど、まさか、叶うとは思わなかった。

高1の春、またもやクラス発表の日。私は自分の名前を探すのに精一杯で、見つけた時、本当にこの学校に受かって、通うことが出来るんだなと、実感が湧いた。そして、安心して友達のクラスを確認する。中学時代の友達が何人か同じクラスで、ますます、安心が湧いてきたので、実は小学校から想いを寄せていた人の名前を探す。卒業の頃に、同じクラスだったらいいのになあ。なんてまた、望みをかけていたら、同じクラスにその人の名前を見つけた。これからの高校生活の励みになるな、なんて思っていたら、クラス内で席替えを初めてした時、ペアを組む席ではないけど、隣の席になった彼。私の席は一番後ろの8行ある縦列の右から4行目の席で、彼はその5行目。ペアを組む3行目は女の子だったから、ちょっと安心。男の子だったら、何を話していいのか、不安で仕方がなかっただろうな。けど、彼が登校してきて私の席の方に歩いてくる気配を察し、気づかないふりをしていたら、まさか、隣の席になるとは、隣の席ならいいなと、席替えのくじを引いている時にまた、望んでいた。こんなに自分の望みが叶ってしまうと、もう、この高校1年生の間で運を使い果たしてしまいそうな気がして、1日1日を大切にして生きなきゃいけないなって思えてくる。けど、次の席替えのくじ引きをする時。また、隣の席にならないかな。なんて思っていた。そしてなんとなく引いたその数字に名前を書いて箱に戻す。そして、数字が割り当てられた席順の紙を見る。今度の席は、一番前の席の一番右側で、教室のドアの真横。そして、席替えの席に移り変わる次の日、私は学校の課題を、家で20分程度で終わらせてから行ったので、いつもより少し遅めに学校に着く。教室のドアは開いたままだったので、軽々とドアをくぐり抜け、ドアの隣においてあった机の上に自分のカバンを下ろす。まだ、隣の席になる人は来ていない。休みかな?なんて思いながらカバンの中身を机の中にしまっていく。しまい終わって、朝に読むための本を取り出して、残りのページ数を確認していると、誰かが廊下からドアをくぐり抜け、隣の席の机に肩から下げていたカバンを下ろす。リュックも背負っていたようで、その後にそれも下ろす。誰が隣の席だったんだろうと、本から顔を上げてその人の顔を見ると、それは、小学校から想いを寄せていた彼だった。もう運は使い果たしたかと思っていたけど、まだ残っていたんだ。それに、私の席というのは、隣の席が彼しかいないから、あなたと話す機会が増えるんだ。って思えた。今までは、落とした消しゴムとか、紙を拾ってもらえただけで、あなたと近づけた気がしていたんだけど、もっと、もっと、近くに感じることが出来るだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

希望 池野向日葵 @baron2260

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る