螢子さん ※執筆途中の作品です
野沢 響
プロローグ
あかねちゃんとの関係が変わったのは、六月の下旬に入った頃でした。その頃、唯一友達と呼べるあかねちゃんが距離を置き始めたのです。
今までこのようなことは一度もありませんでした。
私は無意識のうちに彼女を不愉快にさせていたのではないかと思い、理由を尋ねようとしました。
けれど、私がいざ話しかけようとすると、あかねちゃんはその場を離れ、クラスの女子グループの女の子に話しかけるようになったのです。まるで私を避けるような行動を取っているように見えました。
この頃、クラスにいることに苦痛を感じていました。
あかねちゃんとは、小学校に入った時にクラスが一緒で仲良くなり、中学生になった今でも変わらず、放課後は一緒に帰ったり、お互いの家に遊びに行ったりしていました。
最後に彼女に会ったのは、雑貨や洋服を扱うテナントが入った駅前ビルで、その時のあかねちゃんはいつも通りで、特に変わった様子は見られませんでした。
何度かタイミングを見計らって話しかけようとするのですが、クラスの数人の女子たちと常に一緒にいるので話しかけることが出来ず、ただ日々が過ぎていきました。
さきほど話したように、私にはあかねちゃん以外に友達はいません。クラスで私は完全に孤立していたのです。
その頃とちょうど重なるように、私の持ち物が一つまた一つ無くなっていきました。
そんなある日のことでした。私が螢子さんに出会ったのは——。
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