斑模様

 僕は今、

 森の中にいる。


 頭上に広がる大樹の枝葉の数々が、

 今が昼か夜かもわからなくさせていた。


 酷く肌寒い。


 夏ならば、

 心地良い涼しさとなっていたかも知れないけど、

 残念ながら今は冬だ。


 凍てつく寒さに、

 僕は身を震わせる。


 そう言えば、

 いーくんと初めて会った日も、

 酷く寒い冬の日だった。


 あの日は雪が降っていた。


 傘がなくて震えていた僕に、

 まだ幼いいーくんはなにも言わずに傘を渡してきた。


 酷く肌寒く、

 やけに明るい夜だった。


 この森の外は、

 どんな天気になっているのだろうか。


 それを知る術も、

 それを知る時間も、

 僕にはもう、

 残されていない。

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