ぐだぐだ

「体育祭っていつの間にか終わってたよな」

「いつの話だよ。もう2ヶ月くらい前じゃないか?」

「雲しか見てなかったわ」

「もっと他に見るものあっただろ。女子の生着替えとかさ」

「いや、上着脱いでただけじゃん」

「しっかり見てんじゃねえかよ!」

「そう言えば、文化祭もいつの間にか終わってたよな」

「あれは5月にあるからな」

「芸術の秋ってなんだよ」

「ここは芸術の街だぞ」

「昔は音楽の街だったのにな」

「美術館が増えたからな」

「そう言えば、もうすぐ音楽コンクールじゃん。若は今年も出るのか?」

「なんでだよ」

「え、出ないのか……? 去年のピアノソロ良かったじゃんか」

「ピアノ指つるんだよ。あとソロとか二度とやんねー」

「じゃあギターソロでなんかやってくれよ」

「ソロはやらねーって言っただろ。マッキーもなんかやれよ」

「えー、じゃあベースで弾き語りでもしてくれよ。一人で」

「だからなんでソロなんだよ」

「しかもベースな。ウケる」

「自分で言って自分で笑うな」

「それな」

「それより、なんの用だよ。連絡もなしに家にやってきて」

「連絡ならしただろ」

「マジ? ちょっと待ってろ……」

「……あ、送れてなかった」

「おい」

「今送った」

「……おい」

「悪かったって、睨むなよ」

「はあ……。まあいいか。それで? 何の用だよ」

「皆で温泉旅行行こうぜって話だよ。若だけまだグループ入ってないから……、ってそう言やなんで入ってないんだよ?」

「承認と拒否のボタンが近すぎるんだよ。うっかり拒否押さないか心配で触れねえんだ」

「それな」

「まあ、面倒だっただけだけどな」

「知ってた。……まあいいや、気が向いたときに拒否でも承認でも押してくれや。今は温泉旅行の話しようぜ」

「前に話してたやつだよな? スキーも一緒にしようぜって」

「スキー場の近くに温泉あるか知んねーけどな」

「調べとけよ、言い出しっぺ」

「そのうちな、そのうち」

「また計画だけ立てて終わりか」

「まあな」

「まあな、じゃねえよ」

「卒業旅行の時くらいしっかりするから、な?」

「……卒業旅行は俺に担当させろ」

「はい言質取った」

『卒業旅行は俺に担当させろ』

「は!? ばっかお前、面倒の種増やすなよ!」

「これが目的で来たところあるし」

「ひでえな」

「じゃあ、温泉旅行の日程決まったらまた連絡するから」

「……いや、どうせ決まらないだろ」

「決まるかも知れないだろ」

「誰か楽しみにしてるか?」

「え? そりゃあ……ほら……若とか」

「いやなんで俺なんだよ、楽しみにしてねえよ」

「でも誘われたら?」

「まあ、断る理由がなければ行くけど」

「はい言質」

「またかよ! もう帰れ!」

「あっはは、じゃーなー」

「はあ……また学校でな」

「おう」

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