どこからあおかん
夏が近くなると小さい頃家族で行ったキャンプのことを思い出す。
都会の鬱屈としたコンクリートジャングルから抜け出し、森と沢に囲まれたロハスなひと時を過ごす。
初めて見た田舎の星空は今も忘れられない。
「キャンプ場でセックスしたら青姦なんですかねぇ」
そんな美しい思い出から、こんな素朴にゲスい発想が出て来た自分をいいこいいこしてあげたい。
「キャンピングカーでやるなら、カーセックス扱いだろ」
ヒロ君は祐希ちゃんが買って来てくれたラングドシャをもさもさ食いながら、パイプ椅子を連結させた即席ベッドに寝転んでいた。
こんな話彼女に聞かせられない。
ヒロ君は続けた。
「綺麗に区画整備されたオートキャンプ場が今じゃ主流だろ。だから一区画隣で家族連れがみんなでカレーとか作ってるわけ。その横でカーセックスは背徳感がやばいと思うけど」
「なるほど、じゃあテントは? 物理的には布切れ一枚隔てて野外じゃないか。もはや限りなく青姦に近いとは思うんだけど」
「音は聞こえるだろうな」
僕たち二人は屋外の定義が自分たちの中で曖昧であるがゆえに、テントでのセックスを青姦とするかに悩んだ。
だが、僕たちがこんなことを考えている時には必ずパイオニアがいるものだ。きっとどこぞのヤリサーでは今年の夏も合宿と銘打ったテント乱交が行われているに違いないのである。したたかにその伝統は引き継がれているはずだ。
「青春時代って歌を思い出したよ。僕もリア中だったらなぁ……体育館倉庫で跳び箱を使った画期的な体位に挑戦できたのに。美少女のブルマ横にずらしてさぁ」
「夢の見過ぎだぜ」
「体育館倉庫でのセックスは青姦に入るんですかねぇ?」
屋外ではない。だが、もはや学校という施設が外のエリアになるため限りなくアウトに近いアウトだろう。昼休みはバスケ部とかと鉢合わせしそうだから授業をエスケープしなければならずますます罪を重ねることとなりそうだ。
「校舎裏とかで青姦立ちバックやるやつとかいたのかなぁ」
「さぁ、今となっては確かめる由もねぇよ」
高校生の頃の何かあるんじゃないかというワクワク感。大学になってそれを「ワンチャン」という概念で片付けるようになった僕ら。あの頃手に入れられなかったものをポルノで補完しているのかもしれない。
あぁ、あんな青春もあったんだなぁ……なんて。
いつだってあの時代の良さは終わってから気づくものなのです。
ちなみに青姦は犯罪なのでやめようね、真っ盛りboys&girls!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます