Round.05 ジゼル /Phase.7
「――どこから斬り込んでくる……?」
汗ばむ手で防御トリガーに指を掛けつつ、土煙で塞がれた視界の中、小さな変化も見逃すまいと神経を研ぎ澄ます。
そんなカノエを嘲うかのように、ヌッと、真正面からシュタルメラーラの左腕が伸び、ジルヴァラの首――頸椎フレームを掴んだ。
「嗅覚が足りないな、少年」
背筋の凍る声音でジゼルが言った。
首を掴んだまま、砂塵を振り払うようにシュタルメラーラが歩み出る。半ば吊るされた状態のジルヴァラはそのまま押し込まれた。
右手の
死。
それはゲームプレイヤーにとって、最も縁遠い。
死ぬ、殺す、破壊、消滅、即死。死を意味する言葉はゲームには有り触れているが、それらは本当の意味での死を意味せず、状況や概念を表す為の言葉に過ぎない。
その、もっとも遠いはずの“死”が、カノエの目の前に迫っていた。
「死ぬのか、僕は……」
自分が生きていた時間は、六千年もの昔。
見知ったものは一人も居らず、右も左も判らぬまま、何も知らぬままに、手にした剣を振るって、そして死ぬ。
虚しく、悲しい。或いは、侘しい、と言うのかも知れない。
あの蒼く輝く刃を突き立てられれば、先ほどカノエが斬ったヘルムヘッダー同様、肉片一つ残さず、紅い花になって散るだろう。
人を斬った。当然の報いかもしれない。
そんな事を考えていた時だった。ジルヴァラの首を掴み、
それは空で明るく輝き、真っ直ぐに“こちらに向かって”落ちてきた。
「――流星? ……なんだ?」
「戦意を失ったか……つまらん」
カノエの目は背後の流星を追っていたのだが、焦点の定まらぬ目でブツブツと何事か呟いているように映ったジゼルは、それを戦意喪失と判断。
いよいよカノエに興味を失って、
「ぃやっっっほぉーーーッ!」
閃光が荒野に突き刺さり、轟爆が土砂を巻き上げて轟いた。
地は抉れめくり上がるように弾け散り、地盤に叩きつけられたその膨大な衝撃に、荒野のあちこちで砂塵の柱が吹き上がる。
一瞬遅れて、すべてを吹き飛ばす衝撃波が、砂塵も土砂も一緒くたに、すべてを巻き飛ばしながら奔った。
「なんだッ!」
流星を見ていなかったジゼルが叫ぶ。
カノエの目には、流星がこの戦場のど真ん中に落ちるのが、はっきりと見えていた。
烈風の中心に巨大な影があった。
鮮烈で強大な、そして、在りし日のカノエが憧れた美しいシルエット。
――それは、見知った
「……あ、あ……」
その
「アスト……ライア……」
呻く様なカノエの呟きに、懐かしい、ずっと聞きたかった声が答える。
「カノエ君、アトマ。生きてる?」
「セラ……」
【セラエノッ!】
「セラエノかッ!」
三者三様にその名を呼んだ。
浅く地を抉ったクレーターの中心で、ゆっくりと歩を進めるのは、白と深緑の
「やー……ファーンに着いたらもう戦闘始まっちゃっててさ。フィラディルフィアの
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