夏のクラクション

夏川 俊

第1話、プロローグ



 あの頃、私は17歳。


 さしたる部活にも所属せず、ただ、ただ、家と学校を往復するだけの

 平凡な学園生活を送る、無機質な生徒だった。

 クラスでも存在感が無く、いつも1人。

 何となく過ぎ去って行く時を、冷めた目で傍観しているだけの女生徒……

 それが、私だった。


 通っていた学校は、都内の某女子校。

 心の中では、生活に出逢いや変化を求めつつも、クラスメイトにすら

 声を掛ける事が出来なかった、私。


 そんな私に、一生、忘れる事の出来ない夏を経験させてくれた友がいる。

 そう、あの夏が無かったら… 今の私は、どうなっていたのだろう。


 6月の、ある日。

 突然、声を掛けてくれた、あの友の記憶…

 

 それは、今でも私の脳裏に、鮮明に焼き付けられて離れない。

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