詩集『   』

雨月 秋

神様の涙

雨は神様の涙

悲しみの涙だとか喜びの涙だとかは関係ない

神様が泣けば泣くほど、世界は潤った

それを知った人間

時に神様を喜ばせたり笑わせたり

時に神様を悲しませたり悔しがらせたり

蔑んだり

無視したり

いじめたり

騙したり


すっかり潤った世界で、人間は思った

この世界をこんなに良くしたのは自分たちだ

あらゆる生命を自分たちは救ったのだ

我々は世界の救世主

我々は世界の管理者

我々は世界の支配者


我々はこの世界の神


また雨が降った

でもそれはいつもの雨とは違った

赤くて生温い雨

それが最後の雨だった

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