第16話 女神です!

 スライム…暴食の王は襲いかかってくる。周りにはスライムがおり逃げ場などは無い。隣にいた村神はただ突っ立っているだけ、第一俺よりもステータスが低いのに役に立つわけが無かった。暴食の王は狙いを俺にしたらしくその腕を伸ばしてくる。その腕は際限なく伸びさらに無数に枝分かれし1本1本が鋭利な針のようになっていく。


 俺はいつの間にか足下をスライムに抑えられ動くことができなかった。そして針は俺の頭へ迫ってくる…ことは無かった。


 暴食の王は事切れたようにその場に倒れ込む。周りにいたスライムまでもが動かなくなっていた。そしてそれらは全てが痙攣していた。


 なにが起こったのか全く分からなかった俺は隣にいた村神の安否を確認するのと何があったのか聞くつもりでそちらを見た。そして村神の顔がいつものけだるげなものではなく、新しい玩具を見つけた子供のように笑っていた。


 彼は倒れ込んだ暴食の王が首元につけていた結晶を手に取り引きちぎった。すると暴食の王はその場でビクンッとはねその体は徐々に小さくなり普通のスライムのように小さくなってしまった。


 手にした水晶を少し眺めていた彼は、何の躊躇も無くその結晶を飲み込む。すると彼の体から靄のような黒いなにかが溢れ首元に先程の結晶が埋め込まれたように治まっていた。


 「…一つ目、あと六つ」


 彼はそう言い残すと手から黒い靄を出しそこら中に倒れていたスライムを全て靄で覆う。すぐにその靄は晴れたがその下に倒れていたスライムは全て消えていた。


 「なに…したんだ?…」


 俺は今起きた出来事について行けず、説明を求める。


 「気にしない気にしない。…あ、ほら魔方陣みたいなのが出て来たから戻れるのかもよ?早く行こう。」


 と返されたのでとりあえず何があったのが聞くのは戻ってからにしようとその魔法陣の上に村神と乗ってみる。すると魔方陣は輝きを増す。そして村神が乗っていたはずの方を見るとそこには誰も居ない。そしてその魔方陣から少し離れたところに村神がいた。


 「おい、早く乗れ…」


 そういった瞬間周囲の景色がめまぐるしく変わっていく。そして魔法陣の光りが治まる頃にはそこは見たことのあるダンジョンの入り口だった。


 「…よ?…マジかよ…」


 そして入り口からすこしはいった所は崩壊しており、もう中には入れないようになっていた。


 「日高!」


 「日高君!」


 後から俺を呼ぶ声がするので振り向くと。そこには神代達や王様が駆けつけてきた。何があったのかを聞かれたので少しずつ話していくと全員が魔王についてと村神について驚いていた。そして流石に疲れたので今日はもう部屋で休ませてもらうことにした。


 部屋に入り布団の上に転がる。そのまますぐに眠気が襲ってきたので身を任せ寝ることにした。


 …さん …ひ…さん! …日高さん!


呼ぶ声がしたので目を開けるとそこには純白の布を巻いただけの格好をし、モデルのように高身長のスタイルの良い女性がいた。


 へ…変態だ…


 変態じゃありません!女神です!


 目の前にいた女性は女神だったようだ。

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