リリーサイド・ディメンション《Lily Side Dimension》@百合の世界を統べる後宮王《ハーレムキング》の物語~自動回復する長髪の少年は少女たちの世界を救うために転生して女騎士の学校へ通う~
三浦るぴん
第1話 LSD――覚醒
*
LSD――たとえ、これが夢だとしても……。
*
――幼馴染に告白して振られたオレは仮想現実空間の中で魔物と対峙していた。
ゲームでいう始まりの……魔物の森にいつの間にか転移しており、いきなりスライムと戦闘になっていたのだ。
「うわあ……弱いかもしれないけど、その粘液……いろいろ溶かすよね? 触れたくないんですけど」
だが、オレは戦える道具をひとつも持っていなかった。
「……なぜか、いつの間にか
――ダマされたのかな……オレ、いじめられっ子だから誰かがイタズラで入れたのかもしれない……。
そう思ったが、突如、謎の声がオレの頭の中に響く。
――
「しんか……?」
――魂に刻まれた
「
――まずは箱をイメージするのだ。
「箱?」
――箱の中にイメージを注入するのだ。イメージは、この世界では
「つまり『二重にイメージしろ』ってことかよ」
――そういうことだ。武器は自分が使いたいものをイメージするといい。
「ところで
――それはキミが一番わかっているはずだよ。キミがなにを象徴し、なにを想うのか……一番大事だと思うものをイメージするだけだよ。
「オレの……大事なもの――」
――そんなの……決まっている。
「わかったよ。イメージすればいいんだろ? オレの一番大切なもので、一番大切なものを手に入れてみせる。それが、このフラワーデバイス・オンライン《Flower Device Online》のクリア特典『願いが叶う』ってことだろ……だったら、やってやるさ――」
――オレは彼女のそばに……いや、彼女と対等な側につきたい。そのための次元へ行く。だから――。
「――イメージしてやる! レクチャーよろしく!!」
――まずは
「
――次にイメージする花を咲かす命令文を。
「――
――
「
――そして、武器そのものを引き寄せる命令文を……この世界に武器を顕現させるのだ。その武器は
「
――なるほど。やはり
「わかった。レクチャーありがとな! いくぜっ!!」
スライムは粘液を飛ばしながらオレに向かっていく。粘性で攻撃が通らないし、体を溶かす粘液特性がある。しかし、オレが
オレは粘液をかわしながら相手の
「くらえっ! これがオレの最初の技――」
ただ、
「――
スライムは、その剣技で消滅した。
「ふう……マジでレクチャー助かった。改めて、ありがとう……で、これ……どこから声、出しているのさ?」
――気にするな。ボクは、ただの案内人さ。この世界を初めて知る者のための……ね。
「ああ、なるほど。このフラワーデバイス・オンライン《Flower Device Online》の初心者ガイドってところか」
――そういうことさ。ボクはキミが願いを叶えることを望んでいる。このフラワーデバイス・オンライン《Flower Device Online》で唯一のゲームプレイヤーであるチハヤ《Chihaya》が、どんな冒険模様を見せてくれるのか、楽しみにしている傍観者というところかな? とにかく、ボクは楽しみに待っている。キミが願いを叶えることを。最終エリアである魔王城でラスボスと戦い、レベル九十九となりゲームをクリアする様子を見届けようじゃないか。
「やけにオレに肩入れしているな。つまり、これはオレが主人公になるためのゲーム……」
――そう思ってくれて構わない。このゲームを無事クリアしてくれれば、それでいい。では、頼んだよ。キミの人生に祝福があらんことを――……。
「……――消えた、のか?」
オレは様子を見守っていた声の主の言葉を聞き、確信した。
「オレは、やっぱり主人公なんだ」
オレの口角はニタリと上がった。
「オレの恋は終わった。だけど、新たに始めることはできる。こんな不幸な主人公っぽい人生だったからこそ、オレは願いを叶えなければならない。だから――」
ふふふ、ふはははは、と笑い声が出てくる。
「――オレはハーレムを作る。すべての女性を統べる
ここからオレの物語が始まる。少なくともオレは、そう思っていた――。
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