君の隣にある日常
茶熊みさお
『霊《レイ》』話「彼女の叫び」
気が付けばそこは痛みの中だった。
永遠のように長く続く痛みの中だった。
気が付かなければよかったと思う、冗談のような痛みの中だった。
すごく、痛い。体中に針を刺されたように、痛い。
痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い、……痛くない。
すごく、熱い。体が燃え尽きるかのように、熱い。
熱い。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い、……熱くない。
すごく、寒い。体が砕けてしまうくらいに、寒い。
寒い。寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い、……寒くない。
もう何も感じない。
痛みも、熱さも、寒さも、感じない。
やっと死んだ。
やっと死ねた。
……だけど、もう死んじゃった。
私はもう一度会わなくちゃいけない。
私を殺したあの人に会わなくちゃいけない。
だから、ここで私は待っている。
ここで、名前を呼んで待っている。
私を殺したあの人の名前を呼びながら、ずっとここで待っている。
その人の名前は――
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