ギルティ・スクール

野晒くある

ショタ学長と氷の先生


「やぁ、ギルティ・スクールへようこそ!学長の、萩原虎徹はぎわらこてつだ。よろしく頼むよ。最近は重犯罪者が減ってきているからね、生徒がなかなか増えなくて寂しいと思っていたところなんだ。あぁいや、もちろん犯罪はいけないんだがな。私の職業柄、どうもね。おっとすまん、立ちっぱなしにさせてしまったね。どうぞ、そこの椅子に腰を掛けてくれ」

「は、はぁ」


学長室に入るなり、学長──白髪で少年のような見た目、明るい笑顔が眩しい…──に突然のマシンガントークを繰り広げられ早くも圧倒された俺は、促されるまま指定された椅子に座った。ふかふかだ、もう立ちたくない。


新参にいさん、お茶を用意してくれ」

「はい」


あたしをここまで連れてきた男──長身の金髪で爽やかな印象の顔立ちだ──は、虎徹に言われるまま紅茶を淹れ始めた。静かな部屋の中に、カチカチとカップのぶつかる音がする。


「さて早速なんだが、この学校のシステムは知っているかね?」

「ある程度は。外で習ったくらいですが」

「そうか、ならもう特に伝えることは無いかな。新参は君のクラスの担任だ、覚えてあげてね。それと彼は能力保持者だから、怒らせたら怖いぞ」


チラチラと新参を見ながらにやにやする学長は、少し子供のような雰囲気で笑う。


武田新参たけだにいさんだ。能力は氷。てていうか虎徹さん、貴方も能力保持者でしょう?」


新参は溜息をつきながら言うとあたしと学長の前に紅茶を置き、ちゃっかり自分も飲んでいる。


「あぁ、そうだったね。私の能力は無効化。私が能力を使っていれば他の能力者は能力を使えない、便利な能力だろう?」


なるほど、無効化。先程から能力を使って威嚇しようと試みてみても一切発動しなかったのは。


「そういえば君も能力保持者なんだろう、なんの能力なんただい?」

「あたしですか、あたしは鉛の能力です。鉛を粘土みたいに自由に加工できたり、鉛だけなら遠隔操作も出来ます」

「ほう、なかなか面白い能力だね。おっともうこんな時間か。私はこれから小学校の同窓会があるので失礼するよ、あとは任せたぞ新参」

「わかりました。虎徹さん、貴方が居ないと色々面倒なので今日中に帰って来てくださいね」

「それは分からないなぁ」


フッ、と学長が消える。テレポーテーション…、複数の能力保持者か、厄介なもんだな。


「さて、では教室に向かう。…その前に、この制服に着替えろ。囚人服のままではみっともない」


あ、そういえば囚人服着たままじゃん、今気づいた。

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