17歳
初めて私がした仕事は、あまり他人には言えないようなものだった。
当時17歳だった私は友人関係にとても悩んでいて、人混みが怖くて、常に周りを気にしてビクビク警戒しているような、そんなキモい女だった。実際、クラスの目立つ女子や男子からそんな悪口を浴びせられたこともある。そうなってしまった原因も、また似たようなグループからのイジメだったりするのだけど。
自分に自信が持てず、1人で出歩くことも恐ろしかった。学校では常に居場所がなく、顔のことをからかわれてからは顔を上げて歩くことさえも困難になった。
「見て!スッピンとか見てるこっちが悲しくなるわ!」
「あんなの女じゃねーし!マジキモい!」
そんなことを大きな声で話していたのは、クラスでも可愛いと評判のギャル達だった。当時はブランド物の財布と付けまつ毛が流行っていて、どこのキャバ嬢ですか?と聞きたくなるような髪型をしている子も多く、全体的にケバくて派手だった。
そんな中で黒髪でスッピン、小太りの私は悪口の対象となるのにピッタリだった。
顔を上げて歩きたい。あんな理不尽な悪口言われたくない!
自信だけが失われていき、死のうかと真剣に悩んだ時期でもあった。どんなに酷いことをしても、可愛い子達は許され不細工は存在するだけでも許されない。そんな世界にも嫌気がさしていた。
綺麗になりたい!
という願望よりも
人間らしく扱われたい!
人間らしく生きたい!
という願望の方が大きかった。
そんな時、唯一の友達がブランド物のロゴが描かれているだけの、パチモンのバッグを持って登校してきた。
私と同じ地味目でスッピンの、人とうまく付き合うことのできないような女の子だった。けれどこのバッグを持ってきてからというもの、彼女の周りは賑やかになっていった。
オシャレな女子からも話しかけられることが多くなったし、前のようにあからさまな悪口も聞こえなくなった。
メイクもブランド物のバッグも嫌いだった。それは私を虐める女のマークのようなものだったから。
けれど、それさえ揃えればもうこんな思いをしなくてすむのだ。こんなに惨めで恥ずかしく、悔しい思いをしなくてすむ。
メイク用品もバッグもお金がかかる。とても学生のバイトでは、すぐには買えないものばかりだった。
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