祈り


僕の吐息が君を塞ぐ

僕の声が君を黙らせ

僕の掌が君に触れた


このままどこかに

堕ちていくんだな

それでもいいんだ

闇に包まれた冷気

二人の肌に刺して

あたたかな場所に

もう帰れないんだ


そんな自分勝手で

強引な欲望に溺れ

君の涙は夜ごとに

嵩を増すばかりだ


奪ったものの代償は大きいだろうか

ニセモノの笑顔ですら見せなくなり

ほんの少し残っていた心のカケラを

この暗闇に放り投げてしまった君は

どんなに優しく抱きしめたとしても

その躰を埋め尽くすのは僕への憎悪

知っているから聞かない、聞けない


知っていても離さない、離せない

どんなに憎まれていたとしたって

君のいない世界よりもマシなんだ


君の透明な、涙に透ける

僕の世界に、色を付けろ



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