あなたは地球最期に何を思いますか
小豆とうふ
朝
夢か現かわからない、微睡みから目が覚める。輝く太陽と目が合えばすっかり頭は冴えていた。
あぁ、夢ではない。
今日地球最期の日だと誰が思うだろうか。
しかし私にとってそんなことはどうでもよかった。最期の日がなんだ。今日はいつもの1日であり24時間であり1440分なのだ。何もかもがいつも通りなのだ。この1分1秒だって他の日と変わらない長さを刻んでいる。
私はもう一度太陽と目を合わせた。眩しくて目が眩む。太陽から目を離せば視界は真っ暗だ。
その様な行動を繰り返していくうちに起き上がる気力が湧いてきた。周りの人は驚くだろうが知ったことか。私は私なのだ。既に太陽は輝きを増していた。
みんなは布団から起き上がったらまず何をするだろうか。そんな簡単なことも忘れてしばらく考えてしまった。何をすればいいのかわからない。右往左往している間に思い出しす。いや、自身の体はしっかり覚えていたのだ。尿意だ。トイレに行こう。
用事が済んだらまた考え込んでしまった。トイレに気を取られ過ぎてその先を考えていない。何をしようか。そういう時も体はしっかり覚えている。お腹が鳴った。お腹が空いていたのだ。
久し振りのご飯にまた目が眩んだ。最近食べていなかった。お腹が空いたという感情を一時的に忘れるくらいに。
皿に乗せられラップをかけられたモノを口に運ぶ。冷たい。すっかり冷えてしまっていた。しかし何かを胃に入れれば今までにない空腹を覚える。温めるなんて一ミリも考えなかった。一心不乱に皿の上にある食べ物を食べ尽くした。
もっと食べたかったが食べ物が無くなってしまった。仕方がない。我慢するか。無い物をねだっても意味がないのだ。
しかし後に満腹を感じた。さっきまで「もっともっと」と欲していた体が白状したのか、脳が騙されていたのかはよく分からない。いや、分からなくていい。私にとって「今私は満腹状態だ」という事だけで十分だ。
さて、人間の体は面白いもので満腹感を味わえば次は寝ろと言ってくる。さっきまで散々寝ていたのだが。しかし私は弱いもので欲に勝てず布団に寝転がる。更に輝きを増した太陽と目を合わせることを拒む様に目を閉じ、布団と私の境界線が分からなくなっていく。私はその感覚が好きだ。溶けて一つになるのを楽しんでいくうちに私の体は眠っているということになるのだから。
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