革命@トリステイン

@Maris

立志編

第1話 ラスティン5歳(自己紹介)

 やあこんにちは、僕の名前はラスティン・ド・レーネンベルク、5歳です。外見は金髪碧眼でかなりの美少年だと自分では思っています。身長は約110サントと同世代の子供たちよりちょっと小さめなのが気になるお年頃です。


 僕は、ハルケギニアという世界のトリステイン王国のレーネンベルク公爵家の長子なんです。一応これでもトリステイン王国王位継承権を持っています、順位は低いんですけどね。


 レーネンベルク家は先代国王フィリップ3世の弟である祖父が興した家であり、僕の父上が2代目当主になっています。

 領地はレーネンベルク山脈を含み、沢山の鉱石を産出しています。後は畜産業が盛んでレーネンベルクの肉や羊毛などは結構有名で、レーネンベルク織りの織物は名産品にもなっています。


 同じ公爵家ということで、ラ・ヴァリエール公爵家とは親しい親戚付き合いをさせていただいています。昨日の僕の5歳の誕生パーティにもラ・ヴァリエール公爵をはじめ、公爵夫人、ちっちゃなエレオノールもお祝いにやってきてくれて、嬉しかったです。


 僕の家族を紹介しておきましょうか、


・父の名はテオドラ・ユーニル・ド・レーネンベルク

 山津波の名で知られる、土のトライアングルメイジで公爵家現当主、金髪蒼眼の40歳

・母の名はリリア・ド・レーネンベルク

 水のトライアングルメイジで快癒の二つ名を持っている、モンモランシ伯爵の妹にあたり銀髪碧眼の美女なんだ、25歳でちょっと父上と年が離れているのは後妻だからです、でも夫婦仲はすごくいいみたいです。

・弟が一人いて、名はノリス・ド・レーネンベルク、銀髪碧眼1歳で母上に似て中々可愛い子なんだ。


 後屋敷には、乳母のメアリ、執事のリッチモンド、その他護衛の兵士やメイドやコックなどの使用人が40人ほどがいます。公爵家の屋敷としては、かなり小規模でアットホームな感じかな?


===


 ところであなたは転生というものを信じますか?僕が地球の日本って国から転生して来たっていったら笑うかな?でも事実そうなんです。


あれは僕がまだ3歳になったばかりの頃でした、ある晩から急に毎夜夢を見るようになったんです。夢の内容は、地球の日本って国で生まれた如月更夜(キサラギコウヤ)という一人の男の子の物心ついてからの成長の記憶でした。その夢の中では僕は如月更夜自身でした。


 僕(=更夜)普通の家庭に生まれ、父親はサラリーマン、母親はパートで働いていたとおもいます。普通に小学校→中学校→高校→大学と進学して行き、大学では某国立大学の材料工学科に在籍していました。

 僕はかなりの読書家で、特にライトノベルが好きで、一番のお気に入りは”ゼロの使い魔”でした。大学も3回生になったある日、コンビニ帰りに多分車にはねられその短い一生を終えることになってしまったんです。


 ここでほぼ一年がかりの悪夢が終わり、自分が如月更夜の生まれ変わりなんじゃないかということに気付きました。今でも偶に前世の夢を見ることがありますが、その夢は今でも意外な程鮮明です。


 こうやって書いてしまうとあっけないんだけど、実際は夢と現実の区別が付かなくなり、寝たきりの状態で、生死の境を彷徨うほどでした。両親も何人もの医者や水メイジに治療を依頼したけど原因不明でみな匙を投げたらしいです。

 最終手段で母上の実家に頼み込んで、水の精霊まで頼ったみたいだけど、効果はなかったそうです。今思うと、3歳児の精神が20年もの人間の記憶が一気に蘇ったことに耐えられなかったんじゃないかと思います。


 転生に気付いて最初に感じたのは、自分があの”ゼロの使い魔”の物語の中の世界に転生した驚きと、本当に僕は”ラスティン・ド・レーネンベルク”でいて良いのかという悩みでした。


 一月ほど思い悩んだ末、僕は自分が生まれ変わりだということを両親に打ち明けました。

 語彙の乏しい僕の言葉ではうまく伝わらず、最初は信じてくれなかった両親も話が進むにつれ4歳の子供が思いつくことではないと納得してくれました。

そして僕が”ラスティン・ド・レーネンベルク”でいていいのかとたずねると、父上と母上はぎゅっと僕を抱きしめてはっきりとこう言ってくれました。


「お前が例え誰かの生まれ変わりでも、私たちの息子だ!」


 この言葉が切欠で”ラスティン・ド・レーネンベルク”と”如月更夜”が僕の中で同一化出来たんだと思います。僕はこの父上と母上の言葉を一生忘れないでしょう。


===


 こんなことがあって、翌日からこのハルケギニアの世界を少しでも知る為、言葉を覚え、読み書きの練習も始めました。なにせ3歳児並みの語彙しかないから絵本からはじめ少しずつ言葉を覚え読み書きを覚えていくことになりました。

 この辺りの勉強は母上か執事のリッチモンドに教えて貰う事になりましたが、一年で日常会話は大人と会話してもほとんど支障なくなり、読み書きの方も専門書でもない限り読めるようになりました。

 やっぱりハルケギニア語が文字の形は全然違ったけどアルファベットに似た表音文字だったのが大きかったと思います。前世の記憶のおかげかな?リッチモンドは覚えの良さにかなり驚いていたみたいだけど。


 後、寝込んでいた為、失った体力を回復させる為に、屋敷の周りをランニングすることにしました。最初は1リーグでダウンしてしまった位だったけど、今では5リーグも軽く走れるようになりました。5歳児ならこれ位で十分かな?

 でも体力を鍛えることは精神力を鍛えることにも繋がるから、将来のメイジとしては、日々精進ですよね。


 そして、誕生日のパーティもひと段落したので、明日はやっと杖との契約を始められる事になりました。やっぱり原作の出演者と直接会うってドキドキするよね!考えてみればモンモランシ伯爵の妹を母親に持つなんてかなり原作の近くにいるってことですよね。でもパーティーで見たあのちっちゃくて可愛いエレオノールが高慢で激しい気性になるなんて信じられない。

 公爵夫人については、普段はそうでもないのだけれど、ふとした仕草にも油断が無くはっきり言って近くに居て怖かったです。公爵の方は、さすがトリステイン王国一の大貴族という貫禄の人だった。


 物語通りに歴史が進むのであれば、その日まで25年ほど、僕に何が出来るか考えてみるのもいいかも知れません。

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