第12話 各々の活躍(?)に触れようか
①使えない武器屋
「それにしても要、何であいづはさっきからレモンティーなんて呼ばれてるんだ?」
「今更感! お前の名作にビビって漏らしたからだよ」
「名作って?」
「カタナモドキ」
「おお!」
大悟の声が明るい。
「そっか~、オラ頑張って作ったもんな~」
「でも肝心の作者が使いこなせないという悲しい事実」
「それな!」
自虐的に言葉を返す、大悟であった。大悟はC-membersで武器などを作っている。晴真のトンファーも、大悟が作った。
②ひみつのハルマくん
「晴真もすごかったね。今日も速かった」
「ははははは。褒めても何も出てきませんよ凛さん」
「そうだよ、こいつケチクソだもん。金と女は誰にも渡さない」
「要……!」
「だって事実じゃん。何で怒るの?」
「く……!」
「あ、事実といえば、あのとき何か強そうに見えたけど、あれ実は違うんだよね。素早く急所を攻撃して、自分の非力さをごまかしているだけ! 面倒だから一発で終わらせるっていう」
「いらねーよ、そんな説明!」
③武器があっても……。
「それにしても、カタナモドキもトンファーも、かっこいいよね」
「……うーん……」
「譲?」
譲は、要から聞いた今回の凛の戦闘について思い出している。武器を使わせないために、その武器を持った手をまず攻撃するという戦い方を。武器がなくても、武器を手にした相手に立ち向かい、簡単に勝ってしまう凛。譲は考えていた。
今の自分が、もし凛と戦ったとしたら……。
「いや、それでも俺は、まだまだ強くなりたいです!」
「? ……うん、頑張れ!」
凛は、自分が譲の向上心を動かした理由であることを全く自覚していない。
④人に黒歴史あり?
「でも、譲は強いと思う。剣道の稽古、頑張っていて」
「まだまだですよ、俺なんて……」
「真面目だね~」
「先輩」
「昔のお前が握っていたのは、カタナモドキでも竹刀でもなかったのに……」
「何ですか? やめてください!」
「昔お前が握っていたのは、てつぱ」
「要、意地悪しちゃダメだよ」
「……はーい」
要は、凛に対しては素直だ。
⑤きみちゃんの女子力
「きみちゃんも今日、手当したりと活躍していたみたいだね」
「いえ、活躍なんて……」
晴真が姫美子を褒める。姫美子は決して悪い気はしていないが、少し嫌な予感はしている様子。
「オレのトンファーケースも作ってくれたし、料理上手だし、女子力すごいよね」
「ありがとうございます……」
「それなのに彼氏がいないなんて……。良かったらオレが」
「今日おごってあげるよ、でしょ?」
「げっ、要! お前何を……!」
「おい、セクハラで訴えられたくないなら、それなりのことしろよ」
「くそ!」
「要さん、すみません……」
「いいえ~。同期の暴走は、見逃さないよ~♪」
要は、姫美子に優しい。
⑥どうしてそうなった
「晴真、要の前ではあんまりふざけらんねーな」
「そうだなディーゴ。ちょっと油断していた」
「本当に抜け目ないかんな、あいづ。悪者をあんな風にするんだから」
二人は、せっせと働いている三人組に目をやる。
「……何ならオレ、あいつらが少し気の毒に思えるよ……」
「あいつ、どうしてあんなにSなんだ?」
容赦ない同期にまた畏怖の念を抱く、同期二人なのであった。
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