涙の色は赤がいいだろ?

湯浅八等星

第1話 うまい話には裏がある?

「涙の色は赤がいいと思うんですよ」

突然、高校生くらいの女の子にそう話しかけられた。

なぜ俺がこんな状況に陥っているか、説明するなら話は一週間前に遡る。



【公園のベンチに座るだけのバイト募集】

人生の夏休みと呼ばれる大学生の夏、人より早くテストが終わったので、少し早めの夏休みに入った頃、ネットを彷徨っているとその文字が目に入ってきた。

俺はありえないだろとか思いつつ、この見出しに少し興味を惹かれてクリックしたんだ。

するとそこには、


【内容】

公園のベンチに座ってもらいます。

【募集条件】

十八歳から二十二歳までの健康な男性。

【報酬】

百万円

【その他】

詳しいことは追って説明します。


とだけ書いてあり、詳しい内容については書いてなかったが、確かにバイトの求人のようだった。


こんなのはありえないと思ったよ、詐欺か何かだとも思った。それでもさ、俺にはこれに応募するのに十分な理由があったんだ。

大学生っていうのは何かとお金が入用でさ、まぁ、ただ買いたいものがあるだけなんだけど、とにかくお金が必要だったんだ。


そうしたら、こんなのを見せられたらとびつかないわけがないだろ?

というわけで、俺は冗談半分で応募してみたんだ。


それから五日、すっかりこのバイトのことも忘れた頃、一通のメールが来た。

そこには採用の二文字が書いてあった。


その後、折り返して連絡して仕事内容を聞き、正式にバイトを受けることになった。もちろんいたずらかとも思ったが、驚くことにかなりの額の前金が俺の口座に振り込まれたんだ。これで俺はこのバイトを信じるしかなくなった。


それでバイト内容なんだけど、本当に公園のベンチに座っているだけらしいんだ。昼頃公園に行って、連絡があるまで公園にずっといる。それだけでいいらしかった。

ただ、誰にもバイトの話を口外してはいけない。それだけが条件だと聞かされた。

正直不気味だったけど、やっぱりお金が必要だったんだ。


そうして俺は、このバイトに不気味さを感じながらも、公園に足を踏み入れることになった。

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