涙の色は赤がいいだろ?
湯浅八等星
第1話 うまい話には裏がある?
「涙の色は赤がいいと思うんですよ」
突然、高校生くらいの女の子にそう話しかけられた。
なぜ俺がこんな状況に陥っているか、説明するなら話は一週間前に遡る。
*
【公園のベンチに座るだけのバイト募集】
人生の夏休みと呼ばれる大学生の夏、人より早くテストが終わったので、少し早めの夏休みに入った頃、ネットを彷徨っているとその文字が目に入ってきた。
俺はありえないだろとか思いつつ、この見出しに少し興味を惹かれてクリックしたんだ。
するとそこには、
【内容】
公園のベンチに座ってもらいます。
【募集条件】
十八歳から二十二歳までの健康な男性。
【報酬】
百万円
【その他】
詳しいことは追って説明します。
とだけ書いてあり、詳しい内容については書いてなかったが、確かにバイトの求人のようだった。
こんなのはありえないと思ったよ、詐欺か何かだとも思った。それでもさ、俺にはこれに応募するのに十分な理由があったんだ。
大学生っていうのは何かとお金が入用でさ、まぁ、ただ買いたいものがあるだけなんだけど、とにかくお金が必要だったんだ。
そうしたら、こんなのを見せられたらとびつかないわけがないだろ?
というわけで、俺は冗談半分で応募してみたんだ。
それから五日、すっかりこのバイトのことも忘れた頃、一通のメールが来た。
そこには採用の二文字が書いてあった。
その後、折り返して連絡して仕事内容を聞き、正式にバイトを受けることになった。もちろんいたずらかとも思ったが、驚くことにかなりの額の前金が俺の口座に振り込まれたんだ。これで俺はこのバイトを信じるしかなくなった。
それでバイト内容なんだけど、本当に公園のベンチに座っているだけらしいんだ。昼頃公園に行って、連絡があるまで公園にずっといる。それだけでいいらしかった。
ただ、誰にもバイトの話を口外してはいけない。それだけが条件だと聞かされた。
正直不気味だったけど、やっぱりお金が必要だったんだ。
そうして俺は、このバイトに不気味さを感じながらも、公園に足を踏み入れることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます