白楽天 舞夢訳

舞夢

第1話古原の草を詠む

離離原上草 一歳一枯榮  野火燒不盡 春風吹又生

遠芳侵古道 晴翠接荒城 又送王孫去 淒淒滿別情


目に見えるのは 青々とした野原の草


この草は 一年に一度 枯れてはまた茂る。


この勢いは 野火でさえ 焼き尽くすことは出来ない。


春風が吹けば また生えてくる。


その独特の芳香は 遠く古くからの街道にまで達し


青々とした緑の草は 荒れ果てた古城にまで続く。


そしてここに 貴公子を送りだせば また草は茂るのだろう 


離別の想いが 今 私の心に満ちている。



○貞元三年(787)年の作。

 場所は不明。白楽天が十五歳から十六歳で最も早い時期の詩に属する。

 送別の席で「古原の草」という題を与えられ、即興で作った詩と言われている。

 人間の栄枯盛衰と草の枯れてはまた生える力を詠み上げた若々しさを感じる。

 



※白楽天(白居易):772~846

 古来日本で最も愛された大詩人。

 世の不正を批判する諷喩詩ふうゆし、日々の幸せを歌う閑適詩かんてきし

そして、玄宗と楊貴妃の愛を歌う長恨歌が名高い。

源氏物語や枕草子にも、数多く取り上げられている。


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